騎士は白馬に乗っているとは限らない 234

ブリタニアの吸血鬼・・・のはずですが。









「わあいラウンズだ!!」

子供達が大勢で嬉しくて小躍りしたいルキアーノである。


『いいか、威厳を忘れるな』
ナイトオブワンから何度も念を押された言葉を頭には思い浮かべるものの、にこやかに笑うルルが目の前にいては霧散していく。
普段から気さくで、マスコミに対してもサービスを忘れないジノはすでに子供達にもなじみのあるラウンズの一人であったし、アーニャもジノに並んで多くのメディアに登場するラウンズだ。公式では発表されない皇室のちょっとした出来事を書き綴ったブログは大人気であり、アーニャの写真の腕はプロをも唸らせる。
この2人に比べるとルキアーノ・ブラッドリーのメディアへの露出は少ない。戦場では際だった働きをするが、家族団欒向けの話題にはあまり上らないからだ。すっかり落ち着いてきた今のブリタニアでは、小さな皇子や皇女がにこにこしている話題が一番ウケがいいからである。

そういった訳で、ラウンズであることは知っていても、あまりなじみのないルキアーノに対してどう出たらいいのかと思っている子供達の前でルルがルキアーノの手を引っ張る。

「ルキアーノ、あそぼ!あのね、このまえみたいにおっかけっこしたい!」

殿下の小さな御手がっ!

じーん、と感動のあまり一瞬意識を失いかけたルキアーノだが、他の子供達の小さな手にその黒い手袋に覆われた自身の手を同じように引っ張られて我に返る。
ルルが動いたおかげで子供達も動きやすくなったのだ。
「「あそぼっ」」


「異様な光景・・・」
ぼそりと呟いてはシャッターを押すアーニャにスザクとジノが同時に苦笑いをする。そりゃ、まああの”ブリタニアの吸血鬼”との異名を持つルキアーノ・ブラッドリーが実は大の子供好きであり、現在目の前で園児達と鬼ごっこを楽しんでいるなんて、一体どれだけの人間が信じるだろうか。
ピロリロリーン、とシャッターが続けざまに押される。
「おい、アーニャ。それどうするんだよ」
「半分はコレクション。残りはあの子達へのお土産」
確かに良い記念になるだろう。だが他人に見せないようにと親達への伝言付きとなる。
今回のお泊まり会は極秘なのだ。ただでさえルルが在籍するこのコルチェスター学院付属幼稚園の来年度の入園希望者が例年の数十倍というとんでもない倍率を叩きだしている。こんなお泊まり会がありましたなんて知れたら、毎年恒例行事に持ち込まれることは間違いない。


笑いながら子供達を眺めていたジノだったが、スザクの言葉に振り返る。
「マリアンヌ様がもしかしたら来年はルル、幼稚園には行けないかもしれないって」
「え!?何でだよ!」
「うるさい人がいるんだよ。皇子のくせに公務を疎かにするとかさ。この前のテロもあったし、その前はほらルルに近づこうとした人たちのせいでルルが怪我したり、ね」

ルルーシュ皇子が幼稚園に行かなければあんな事態にはならなかったのではないのか?一般人を巻き込むなど何という失態だ!

ルルを真剣な眼差しで見ているスザクの横顔にジノとアーニャも何も言わず、2人も走り回る小さな皇子を見る。
あんなに楽しそうなのに。毎日嬉しそうに友達と過ごしているのに。
「でもシュナイゼル宰相が色んな所に随分働きかけていたみたいだから、何とかなるかな?と思っているんだけど」
どこに、何をですか?とは聞かない方がいい。


「おいっ!お前ら!見てないでこっちに来い!」
はあ、はあと荒い息を吐き出しているルキアーノが叫ぶ。ラウンズ足るもの、毎日の訓練やトレーニングは欠かさない、とはいえ戦闘と子供の相手はちと違う。
はいはいとマントを脱ぐとジノとアーニャも一緒に走り出す。
「スザクーーーーっ!」
ルルが両手を上げて騎士を呼ぶ。騎士も主に向けて走り出す。

「「「「じゃんけん、ぽんっ」」」」
一人だけ手のひらを広げていたのは・・・ルキアーノ。
「じゃあ、ルキアーノさんが鬼で」
「・・・また俺かよ」

子供達の歓声がアリエスの庭に広がっていく。きっとお日様にも届いているだろう。
昨日、ルルがぶら下げたてるてる坊主が誇らしげに揺れていた。


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