騎士は白馬に乗っているとは限らない 237

王子様とお姫様の現実。







シルヴィアはとってもとっても面白くない。

タマキがユーフェミア殿下を見つめたままなのである。

そりゃあね、とシルヴィは思う。シルヴィのおうちも大きいし、帰ればお嬢様だしドレスだって(一応)持ってる。でも本物のお姫様にはかなわない。

ユーフェミア殿下はいつだってお姫様だ。

TVで見るユーフェミア殿下はいつもドレスを着て優しく微笑んでいる。病気の人や困っている人にも優しい。
それこそ絵本の中の「めでたしめでたし」で終わるお話の中のお姫様のよう。おとぎ話のお姫様はどのお姫様も綺麗で優しい。

そんなお姫様が目の前にいるのだ。仕方ないとは思う。
タマキだけではない。アランやウォルグだってぽー、と見ている。
長い髪がふわふわして、ふんわり広がったドレス。なんだかいい匂いもする。


「鬼ごっこの続きしようか?」
くるくるキックを結局決めることが出来なかったルキアーノが一人木陰でへばっている中、鬼を決めるべくじゃんけんが始まる。鬼ごっこといっても子供達は逃げ回るだけだ。

「ルキアーノが抜けたから鬼が変わる」
「俺は負けないからなっ」
「僕も負けない」
「あ、私もやるやるっ!」
アーニャ、ジノ、スザク、カレンが腕まくり。
そして当然。
「私も負けませんわ」
やる気まんまんのユフィが参戦。どこで覚えたのか手を組んでのぞき込み何を出すのか思案中。

「「「「「じゃーんけーん、ぽんっ!」」」」」
一人拳を出したのはユフィ。


世間の願望と現実はとんでもなく違うのである、というのは皇宮内では常識だ。あの威厳の固まりのような皇帝があんなだったり、優しく美しい聖母様がこんなだったり、甘い微笑の凄腕宰相が胡散臭いドSだったり。
こうであって欲しいと願うのであれば知らない方がいいことはたくさんある。

おしとやかで優しい姫君がドレスを捲りあげて走り回り地団太を踏んでいる姿も然り。
「絶対に、捕まえて見せますっ」
ふふふふふと拳を握るあの姿をどこかで見たような気がするのは気のせいだろうか。

お姫様というのは甘い砂糖菓子で出来ているのではない、という現実を見せられた瞬間であった。


休憩に皆でアイスクリームを食べる。一つずつ配ってくれるおじさん達に見覚えがあるような、ないような。

タマキはルルと一緒にアランやウォルグのそばに座り込む。
「ルルーシュのねえちゃんたちってさあ、すげえなあ・・・」
「あねうえ?うん、すごいでしょうっ」
にこ、とルルは笑うが勿論”すごい”の意味は全く違う。
勇ましいコゥ姉上も優しいユフィ姉上もルルの自慢の姉上だ。誉められて嬉しくてルルはにこにこしているが、アランとウォルグはタマキにあはは、と笑ってみせる。

確かにスゴい。
お姫様の図式がぶっとんだ。

「ふふん、バカねえ。だからおとこってダメなのよっ」
「なんだよぉシルヴィ」
お姫様に憧れなんて持つから現実を突きつけられて落ち込むことになるのだ。
「”げんじつをみなさい”っておかあさまがいつもいってるもん」
意味が分かっているかは定かではない。

「できるおんなはおうじさまになんてあこがれないもん」



「やあ、賑やかだね、ルル」
「クロあにうえっ」
にこにこと後ろに側近のキューピー(バトレー)将軍を連れて現れたのはクロヴィス。ユフィが憧れのお姫様ならクロヴィスは間違いなく憧れの王子様だ。
すっ、と片足を後ろに下げ右手を前に。そのままゆっくりと頭を下げた。
「ようこそ、小さなお客様方」

今度はぽやんと眺めているのは女の子達だ。憧れないもん!と宣言していたシルヴィではあるが。
「楽しんでいかれるといい」
にこ、と微笑みかけられてボォ・・・としている。

「あこがれないんじゃなかったのかよ?」
「お、おんなはいいのっ!!」

どちらにしても現実は大変だと思うよ、シルヴィも。

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