騎士は白馬に乗っているとは限らない 231

埋め合わせは必要ですよね?







ルルが綺麗なカードを一枚一枚、皆に渡す。皆はそれをうれしそうに受け取る。

「みんな、きてねっ!」
「「「わあああいっ」」」

それは園児全員に配られたアリエス離宮へのご招待状。雨で遠足にも行けず、その上テロにまで巻き込まれた子供達への贈り物。
「どうぞ、遠慮なくお泊まりに寄越してくださいな?」
ごく当たり前にどうぞ、と笑うマリアンヌに初めのうちは遠慮していた親達も、結局お願いしますと全員返事を出した。それでも決して「私たちもよろしいですかっ」などと言い出さないところは学習したらしい。

この企画にルル以上に喜んだのが実はナナリーだった。とにかく幼稚園に通う兄がうらやましくて仕方なかったのだ。ナナリーだってお友達と遊びたい。
「みんな、くるの!?ナナリーもあそびたい!!」
「みんなくるよ!あそぼうね」


アリエス宮は準備に大わらわだ。でもこんな計画は準備する方も楽しい。皆がにこにこしながら用意している。
大広間に客用のベッドを全部並べようと計画がされた。こんなお泊まり会なのにばらばらの部屋では面白くないに決まっている。
「しかし、マリアンヌ様。これだけ運ぶのには男手が・・・」
数人では済まない仕事だ。スザクやラウンズだけでは全くはかどらないだろう。だからと言ってまさか軍から借りてくるわけにもいかない。
こんな私事で軍を動かせばどこからともなく聞きつけた他の皇妃達が騒ぐに決まっている。それは絶対に避けたい事態だ。

困ったような特務総監にマリアンヌはにっこり笑う。

「あら、ベアトリス。あの人達がいるじゃないの」

あの人達とは。すっとこどっこい達のことである。
「あれだけいたら、すぐに片付くわよ。役に立つこともさせないとね」


「喜んでやらせていただきますっ!皇妃様っ!!」
「まあ、頼もしいこと。嬉しいわ」

大勢のいかつい顔の男達を前に、にっこり微笑む美しい皇妃。これだけを見たら「皇帝妃が危ない」と慌てる人間が多いであろうが、この離宮では誰もいない。反対に男達の心配をするだろう。
白く細い指を口元に当ててコロコロと楽しそうに笑っている皇妃であるが、その白い手にマシンガンを持ち、高笑いしながらぶっ放していた姿は誰の記憶にも真新しい。
現在宰相府のその部屋は壁の修理中である。

「ほら、可哀想に子供達の遠足が台無しになったでしょう?埋め合わせをしてあげないと」
ほほほほほ、と笑うマリアンヌ妃を前にどんどん顔が蒼白になっていく”元”テロリスト達。
原因は自分達ですから。
そこへ、可愛らしい声が近づいてきた。

「ははうえっ!」

「なあに、ルル」
小さな皇子が母のスカートにまとわりつく。こうして見ても際だって可愛らしい。よくメディアで見るブリタニア皇帝溺愛の皇子だ。
何故あの時気付かなかったのか。この母妃にも、皇子の騎士にも、その後で兄の宰相や姉の戦女神にどれほどこの事を責められたか(いや、おかしいんですけどね)。
そして、他の皆が危険な目にあわないようにと顔を隠して座っていたのだと知らされて驚愕した。
確かに顔を見れば間違いなく「ルルーシュ皇子」だと気付いただろう。気付けば要求はさらにエスカレートしたはずだ。

5歳の子供がそこまで。

「マリアンヌ様。ルルが手伝いたいって言うんです」
皇子の後ろから現れたのは騎士だ。この騎士に叩きのめされた記憶もすっとこどっこい達には刻み込まれたばかり。
にこやかな笑顔に騙されてはいけない。ああ、そういえばこの国の宰相も結局最後まで笑顔のままであった・・・。


にこ、と首を傾げる皇子様。何という可愛さ。この笑顔は本物である。
「あのね、じゃましなからおてつだい、いーい?」
「「「イエス、ユアハイネスっ!!!」」」
”元”テロリスト達が完全に落ちた瞬間はあっけないものであった。

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