騎士は白馬に乗っているとは限らない 239

主の成長の為に、時には騎士、我慢です。








幼稚園に入る前のルルがそうであったように、ナナリーも同じ年頃の子供と遊ぶ機会というのはあまりない。あまりないどころかナナリーはほぼ皆無と言ってもいいだろう。
小さな子供と接触する場面などユフィとともに訪れる病院の小児科か養護施設。当たり前だが双方とも「では遊びましょうか」などという事にはまずならない。皇族の訪問という事でどの子もお利口にして騒いだりしていないし、皆にこにこしている。

ナナリーには初めての体験である。
同じ年頃の子供達がにぎやかにおしゃべりして、小突き合いをして、走り回っている空間。

遊びたい、とカレンに言って訪れたものの(何故か連れてきてくれたのは父だったが)ナナリーは目をまん丸にさせて眺めているばかりだ。

「ナナリー、遊んできていいのよ?」
「うん・・・」
初めのうちはカレンの手をぎゅうと握っていたナナリー。
だが、兄やスザクの呼びかけにおそるおそる輪の中の入っていく。
「ナナリーもおいで!」
「遊ぼう。大丈夫だよ」


ナナリーは皇族の中では一番下だ。

兄のルルーシュが2歳上。その上は何人も兄姉がいるはずだがこれがよく分からない。会ったことがほとんど無いからだ。会わない理由はナナリーはよく知らない。
だからナナリーにとってルルのすぐ上の兄姉となるとユフィになる。そしてクロヴィスにコーネリア、シュナイゼルである。
兄姉以外で遊ぶのは騎士とラウンズの面々。グラストンナイツにヴァルキリエ隊(ルキアーノよりもマリーカやリーライナと遊ぶ方が断然多い)。
一番遊ぶのはカレンにスザク、アーニャにジノ。
皆、どう遊んだらいいのかということをきちんと分かって遊んでくれるメンバーである。

そんな遊び方しか知らないナナリーが直面した同じ年頃の子供達。
ナナリーは自分が手にしていたおもちゃを「かして、かして」と引ったくられる事も初めてで、遊ぼうと思った物を「これ、おーれのっ!」と横からかっさらわれるのも初めてだ。
ルルは最初子供達のほうが遠慮していたところもあって、お互いが少しずつ慣れていくという感じで馴染んでいったのでいきなり取り上げられたり、引ったくられたりということは無かった。もちろん、今はお互いにやっている。

だが、ナナリーは免疫なし。

鬼ごっこをしていてどいてどいて!と突き飛ばされることなんて産まれて初めての体験。
どん、と尻餅をついてナナリーは硬直状態。兄よりも少しだけ薄い紫の瞳にはみるみる涙が溜まっていく。

そしてそれをイライライライラしながら見ているのはカレンだ。
いつもであったらさっと小さな主を抱き上げてレースとフリルで縁取られたドレスを払ってやり、そのままぎゅっと抱きしめて大丈夫よナナリーと・・・。
「駄目だよ、カレン」
「我慢ですわよ!カレンさん!」
「うーーーーーーっ!」

大人の中でしか遊んだことのないナナリー。自分を守ってくれて、自分の思うとおりに動いてくれる人としか接してなかったナナリー。

「ナナリー殿下なら大丈夫。ルキアーノも動いちゃ駄目」
「ひぇっ!!!」
お前はどこに目があるのだと思う。
アーニャはカメラをナナリーに向けてシャッターチャンスを狙いながら背後のルキアーノの動きを察知しているらしい。
さすがラウンズ?
もう少しで駆け寄ろうとしていたルキアーノは舌打ちをして諦めた。

そんな皆が注目している中、ナナリーがうんしょと立ち上がった。ぱんぱんと手でお尻についた芝生を払うと、ふん、と胸を張る。
「ナナリー、まけないもんっ!」
そう言うと再び走り出す。

全員がほーーーーっと安堵の胸をなで下ろす。

「やっぱりナナリーは大丈夫だね」
「もぉおお、ハラハラするっ!」
手を出しすぎないように、自分で立ち上がれるように、というのは分かるのだがもう見ていてハラハラドキドキ。カレンにしてみればナナリーは大事な大事な主で、そしてそれ以上に可愛くて仕方ない存在。
コテンと転べば手を差し出したくて堪らない。

「我慢だよ、カレン。ナナリーも一人でさ・・・っ!ルルっ!!!」

見ればコテンと転んだのは今度はルル。さっと騎士が走り寄ると立ち上がらせる。
「大丈夫っ!?痛くないっ!?」
「うん。へいき」
再び走り出すルルを見てスザクはにこにこ。

「痛くないって。良かったあ」
「スザク、あんたちょっとそこ座れ」
「え?何で?」
「何で?じゃないっ!!!!」

こちらは主よりも騎士を成長させた方が宜しいようです。



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