騎士は白馬に乗っているとは限らない 247

ルルは”ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア”だから。







再びきゃあきゃあと皆でお庭で追いかけっこをする。結局はこうしてみんなとはしゃぐことが出来れば”楽しい”ことになるのだ。

勿論、KMFは文句なくかっこいいし、レースがいっぱいのドレスも綺麗。でも今は皆と走り回っていることが一番楽しい。
「でんか、つーかまえたっ!」
「あー、つかまっちゃった!じゃあこんどはルルがおにね!」
また皆で庭中を駆け回る。

その様子を木陰で眺めているのは皇帝とマリアンヌ妃。

「こうして手順を踏めば何も言われないのよ?」
優雅に紅茶の香りを楽しんでいる奥方とは違い、皇帝は顔をしかめたままだ。ようやく、ようやく念願叶ってルルの遊ぶ姿をこの目にすることが出来た。ここまでの道のりはなんと険しいものであったことか。何処かの国を占領するよりも遙かに難しいものであったように感じるのは何故だろう・・・。

現在の姿は皇帝ではない。ただの父親として我が子を見ている。国の威厳たる”皇帝”は執務室に置いてきた。その為、一度はビクッと体を震わせた子供達も泣くことはなかった。

「子供は正直だ」
「ええ。大人の虚飾だらけの行動なんてすぐに見抜かれるわ」

芝生の上、キラキラと柔らかな午後の光が降り注ぐ中ルルが友達と走り回る。飛び跳ねる。
「でんか、でんか」
何の思惑もなく、たくさんの手がルルに差し出される。

「マリアンヌ、枢密院では否決された」
「そう・・・仕方ないわね」
「宰相府は通ったのだがな。シュナイゼルが手を尽くしたようだがこれが限界のようだ」
マリアンヌはいいのよ、と首を横に振る。
「これ以上のわがままはマイナスになるだけよ。そうでしょう?」

シャルルは指を組んで深く腰掛けると溜息をついた。

「難しいな、マリアンヌ」

カップとソーサーをテーブルにかちゃりと置くその白い美しい手がKMFを操れば誰にも負けることはないとは、とても思えない。つい先日はマシンガンをぶっ放していたのだと誰が信じるだろう。その手をそっと夫の手に重ねるとマリアンヌは微笑む。聖母の笑みで。

「ルルは自分の立場を全て理解している。きっと分かってくれるわ」
そう言ってマリアンヌも走り回る我が子を見つめる。


ルルの初等科への入学が枢密院で否決されたのだ。


現在、ブリタニアはこの世界でのあり方を少しずつ変化させている。一時の武力制圧ではなく平和的な手段へ。
その最もたる象徴が小さな親善大使であるルルーシュの存在。
ブリタニア皇帝溺愛の皇子。その皇子は両親にも兄姉達にも愛されている。ブリタニアが平和への道を歩みだしたきっかけはこの小さな皇子の誕生によるものだ。

最大の対立とまで言われていた中華連邦との友好を結んだのがこの皇子の力によるものであることも知られている。また世界有数のサクラダイト埋蔵国の日本国としっかり手を結んでいるのは皇子の騎士が日本国首相の息子であることも大いに関係してきている。
その2つの国は世界の政治の要衝である。その両国と条約を結んでいるブリタニアは今や世界最大の力を手にしていると言っても過言ではない。
その中心にいるのが、ルル。ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだ。本人は無自覚なまま、真ん中に立っている。

当然の事ながら、そういった関係でルルへの公式訪問の招待の数は現在ダントツである。それはまだ幼い皇子を上手く丸め込んで有利な条件を結んでしまおうという諸外国の思惑たっぷりな招待。しかしそう上手くは行かない。騎士が常に睨みを利かせているし、政治的手腕に関してはブリタニア宰相の右に出るものは現在どの国にもいない。騎士にあわあわしているうちに宰相があれよあれよと主導権を握り条約を結んでしまう・・・というパターンが常に展開される。

だが、ルルが幼稚園に通い始めてからはそういった公務は必要最低限のものまで減らされている。
ブリタニアにとっても有効な手段が使えない、ということになる。それに対して、枢密院のお偉方から意見が出されたのだ。ここ数日シュナイゼルが策を練っていたようだがこればかりはどうにもならなかった。
ブリタニア帝国の未来を全面に押し出されれば強く出ることもできない。それに国外はもとより、国内でもルルの訪問を心待ちにしている国民は大勢いる。自国の国民に望まれているのだ。そちらの方はもっと大切だ。

ルルは初等科には進めない。今後は公務が最優先の毎日となる。

幼年部へ通う事自体が異例中の異例ではあったのは確かではある。皇子が幼稚園に通うのはルルが初だ。
どの皇子も皇女も皆学校へ行くのは中等部から、というのが通例だったのだ。それを覆してのルルの入園はまさに大事件。

毎日楽しそうに通うルル。たくさんの友達が出来、その友達と”皇子”という身分を抜きに本当に楽しく過ごしていたルル。出来るならば、このままこの友人達と学校へも進学させてやりたかった。

「可哀相だが・・・。皇帝とは無力だ」
我が子に対して何もしてやれないとは。
「ルルは自分が皇子であることを自覚しているの。だから理解して、わかってくれる。ルルはいい子よ。きっとブリタニアの未来を守ってくれるわ」


「ちちうえー、ははうえー」
友人達の真ん中で大きく手を振る小さな息子に、両親は揃って手を振り返した。




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