ぼくのこころに、きみがくる 7.

色々と。










カレンからのSOSに「冗談じゃない、馬鹿じゃないのか」と悪態をついたものの、気持ちは分からないでもないルルーシュは仕方ないなと思いながらリビングに来てみれば、そこでは珍しく声を荒げたスザク先生がいた。

「何言っているんだよ、高校生や中学生じゃないだろう!?」

ルルーシュの姿を見てスザクは一旦携帯のマイク部分を押さえてどうしたの?と尋ねる。ルルーシュは苦笑しながら自分の携帯を見せて「カレンが付き添いしろって」と伝えるとスザクは大きくはあ、とため息をついた。そして再び携帯を耳に当てる。
「ジノ、いいよ。後から行くから」
それだけ伝えて携帯を切った。
「先生?」
「ジノもなんだ。全く中学生じゃあるまいし、どうしてデートの付き添いがいるんだろう……」
いい大人のやることじゃない、とはいえ相手は20以上も下。下手したら親子でもありえる年齢差だ。この辺りでは皆分かっているからいいものの───やはり気になるのだろう。
「いきなり二人だけで出かけろっていう方が無理かな。仕方ない、よし、一緒に行って僕たちは僕たちで遊んでこようよ。途中で別れちゃえばいいし」
「はーい!」
いつの間にかその場にいたナナリーが賛成!と手を挙げて、付き添いが決定した。


コーヒーカップに乗った三人がジノとスザクに手を振り、見ていた二人も手を挙げる。
「……助かった」
「今回だけね」
お前な、と言いかけてジノは止めておいた。反対の立場なら自分だって次からは二人で行け、と言うだろう。それにまあ、これだけ見せつけられるのは堪らない。
「……ナナリーは良く分かってるんだな」
「何を?」
「色々と」
そう言ったジノにスザクは笑い返しただけだった。

「今度はあれ! あれに乗りたーい!」
ぐいんぐいんと回転しているジェットコースターにナナリーを除いた四人の顔が一瞬強ばった。どちらにしても座席は二人づつ、ということは一人余るという事になる。
「ええと、オレが残ろうかな……」
「それは駄目。それなら僕も一緒に残る」
ルルーシュが待ち人になった時、アトラクションに乗っている僅かな間に一体どれだけ声をかけられていたのか。それを見て、今すぐ降りると宣言したスザクの顔は本当の本当にマジであった。
「……先生もじゃないか」
やたらカメラのシャッターを頼まれるのがスザクだ。にこにこと良いですよ、と引き受けて、それでも隣にルルーシュが立てば相手も礼だけ言って引き下がるのだが、スザクが留守番になっていたときは引き下がらない様子が見えて、こちらもルルーシュが今すぐ戻る、とごねた。
「とにかくルルーシュだけ残すのは選択外だから」
「だからって先生を残すのもオレがやだ」
と、いう会話が目の前でされるのだ。
収拾がつかない状態にナナリーがやれやれと首をすくめる。
「分かりました。じゃあお兄ちゃんとスザク先生とジノ先生はここで待ってて。カレンちゃん、乗ってこよ?」
「え? わ、わたし?」
ぐいぐいとナナリーに引っ張られていく涙目のカレンを残された男三人が見送ったのだが、その次に乗ったボートはジノとカレンだけが池の淵に残された。戸惑ったものの、ボートに乗る三人を話題にすれば何とかなった───というか大いに話題提供してくれていたのだ。スザクが真ん中でボートを操り、両側にルルーシュとナナリー。まずスザクがどっちを向いて座るのかということで騒いでいるのであろう三人に笑い、そのうちにナナリーが漕ぎたいと言いだしたようで、先にトライしたルルーシュよりも上手なのだ。ちょっと拗ねるルルーシュに笑うスザク。
勿論声は届かないから二人であれこれ想像していただけだが、戻ってきた三人の話はこれがまた想像通りでジノとカレンは顔を見合わせてから二人、お腹を抱えて笑うことになった。

こうなると次の観覧車でジノとカレンの二人をナナリーが先に乗れと押し込んでも慌てずに済む。
「お、風船が飛んでるぞ」
「誰か離しちゃったのかなぁ。泣いてないといいけど……」
赤い風船が一つ空へと消えていく。だんだん小さくなっていく風船とは逆に、自分の中のカレンの存在が大きくなっていくことにジノは気付く。
「ねえジノ先生、あのピンクの建物何だと思う?」
「アイスクリームのショップじゃないか? 食べる?」
「うん!」
そう笑うカレンはいつもの───ジノが昔から良く知っているカレン。でも違うカレンも時々顔を見せ、そちらのカレンに酷く引き付けられる。
「……今度は二人で出掛けようか」
すんなりと、思っていたよりも簡単に言葉が出たが、その誘いの言葉は自分でも頭を抱えるほどの常套句。だが、気持ちはいつもとは全く違う。
「…………うん」
小さく返された言葉にここまで安堵したこともない。

帰り道、触れた手を握ってみた。握り返された。

「本気になりそうだ」
「本気になってみたら?」
本気にさせる相手のいる親友はそう言って笑う。その笑顔を心底羨ましく思えたのが一番のきっかけだったような気がする。






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