ぼくのこころに、きみがくる 6.

女の子は支度に時間がかかります。










いってらっしゃいのキスがいるだの、どうして日曜なのに出勤なんだろうだのとボヤくナオトを見送って戻ってきても、カレンが未だ洗面台、鏡の前に立っている。かれこれ30分は経過しているだろう。呆れ半分、可笑しいの半分でC.C.はいいかげんにしろよと声をかけた。
「だって! ここ直らないんだもん!」
「どこがおかしいんだ」
ここ!とカレンが半泣きで指さす場所はC.C.から見てもどこがおかしいのかさっぱりわからない。だが、そろそろこの場所を空けてもらわないとこちらも仕事に遅刻する。貸してみろ、とカレンの手からブラシとドライヤーを取り上げるとC.C.はくるくると髪を巻き付けていく。通りいっぺんのことではあったが一応ドライヤーもあてて、直ったぞ、と言ってやればカレンもようやく納得したのか、ありがと、と頷いた。
「その服で行くのか?」
「おかしい? 変?」
「遊園地と聞いていたが」
カレンとデートに行くと聞いて、カレンではなくジノを絞め上げるのはさすがC.C.であろう。だが、カレンは何故か畏まったようなワンピースを着ている。いつもカレンではない。
「ルルーシュ達と遊びにいくような格好をすればいいじゃないか」
「だって! だってジノ先生だし……」

確かにジノ先生も『普通の格好でいい』って言っていたけれど、なにせ相手は20も年上。どうしても背伸びしてしまう。今までの彼女がどんな人だったのかは知らないが、きっとジノ先生と並んでもおかしくない年齢の───大人の女性だったのは間違いないのだから。

背伸びするのも可愛いとは思うがそれはどうだと、この頑固な義妹に何と言い包めたらいいのかとC.C.が考えあぐねていると母がひょこりと顔を出した。
「シーちゃん、そろそろ時間じゃないのかしら? あらあらカレン、あなた今日遊園地行くんじゃないの?」
義母の登場にあとは任せたとバトンタッチして慌ててC.C.は出勤の用意に取りかかる。早く行かないと店の中が大変なことになる!
ジェレミアに陳列を任せておくと色々面倒なのだ。あのパティシエはどのケーキにも面倒な名前を付ける為に客も注文するときに困る、という問題が発生する。なので客が注文しやすいように種類をばらして陳列させる必要がある。チョコ系ばかりを並べると「この四つ並んだチョコケーキの右から二つ目のケーキ」という説明をしなくてはならないが、ばらせば「プリンの右横のチョコ」だけで済む。見栄えを考えれば同じものを並べた方がいいのだろうが、毎日のことなのでC.C.は効率優先だ。嘆くジェレミアには「だったら簡単な名前にしろ」と言ってあるが、これはどうしても譲れないらしい。「どのお菓子も我が子のようなものですから!」というのがジェレミアの信念だ。

「いってきます!」
「はい、いってらっしゃい」
嫁の出勤を見送った母は今度は部屋中に服を出しているカレンを見てやれやれと溜息をついた。
「どうしよう、お母さん!」
「いつものでいいじゃないの」
そう言いながらとりあえず着ないであろう服を母は片づけていく。何故この時期に夏物まで出しているのかさっぱり分からない。それでもまだ更にうんうん言っている娘の頭を母はぽんと叩いた。
「いつものカレンでいいのよ。だってもうあなたの事はジノ先生知ってみえるんですもの。ルルーシュくんとリヴァルくんと飛び跳ねて遊んでいた時期から知っているんだから」
そう言われると確かにそうだ。くるるぎクリニックの駐車場で遊んでいると時々スザク先生達が入ってきて遊ぶことがあった。

思いっきりジノ先生にドッジボールぶつけてたわ、わたし。

「……そっか」
「そうよ。普段のカレンでいいの」
そうは言ってもやはり心配になる。
「ルルーシュ! お願いついてきて!」
「お前はバカか!」

結果、ルルーシュとスザクとナナリーまで付いていくことになる。







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