ぼくのこころに、きみがくる 11.

サンクチュアリ










意味深な笑みを浮かべたスザクに対して知らぬ振りを貫き通したジノだが、相手はそう簡単には引き下がらない。こちらも散々突ついていたのだから、これも仕方ないかとその攻撃を甘んじて受け止めることにしたのだが。
「手は出さない方がいいと思うけど」
「お前にだけは言われたくないぞ、それ!」
「出したの?」
ふわりとアーニャが振り返る。いいところで切り出してくるタイミングはさすがだ。
「出してないっ!」

「だから、ご飯食べて帰ってきたのっ!」
「ふうん?」
じり、と身を乗り出してきたシャーリーにカレンが叫んだ。その声は教室中に聞こえたようで、興味津々なクラスメート達はそのまま聞き耳を立てている。シャーリー以外の女の子達はそれだけでは満足することはなく、「ねえ、あれ誰?」から始まった質問は休み時間のたびに繰り広げられていた。
「ジノ先生はお医者様。現在38歳、独身」
という略歴は女の子達をきゃあきゃあ言わせる要素を十分に持っていたようだ。そしてルルーシュが困ったのは、自宅である『くるるぎクリニック』に勤めているということでカレンだけではなく自分も質問責めにあうことになったのだ。
そりゃあ、高校生が医者と出会うなんて一体何事だと思うのは分かる。年齢差もある。目の前であんな風に迎えに現れて羨ましさもあるのだろう。だが。

「……別に交際の斡旋をしている訳じゃない」

だん!と必要以上の音を立てて机で揃えた教科書を手にするとルルーシュは移動教室の為にその場を離れる。いつもの穏やかな姿からの変貌に女の子達が固まる中、カレンとシャーリーとリヴァルだけが大きく溜息をついた。「遊びに行きたい! あたしにも紹介して!」と発言をした女の子は一人声も出せずに立っている。
「あんた達、あれ以上騒ぐと本当にルルーシュ怒るわよ?」
あの場所はルルーシュにとって何よりも大切で大事な場所、いわば聖域。出会いの場でもない、きゃあきゃあ騒ぐ場でもない。
「だってカレンは……」
「私はもう10年の付き合いなの。リヴァルだってそうよ」
「まあ、行ったとしても商店街のおばちゃん達がなぁ」
「あー、そうだよね。まずあそこで判断されるんだよ」
リヴァルと、経験者のシャーリーはうんうんと頷きあう。何事かと思う程、おばちゃん達から質問責めにあったシャーリーはすぐに合格を貰ったが、この下心満載の女の子達ではまず無理だろう。
「街ぐるみで守っている場所だから、そんな気持ちだと無理だよな」
ルルーシュとナナリーが一番大変な時も、どうなるのか分からなかった時も、幸せな時も、ルルーシュが大好きな先生の為に頑張っていた時も、そのスザク先生と離れた時も、足掻いていた時も全部知っている。スザク先生がどれだけあの2人を大切にして守っているのか、そしてそれをルルーシュもナナリーも当たり前だと思わずに毎日を過ごしていること、お互いがお互いを必要としてもう離れてはいられない、それらを理解出来る人間しか入ることは許されない。
「その続きであたしも色々言われるし……」
「カレンのとこはお義姉さんが……」
「そーなのよっ!」
ナオトと結婚したC.C.は家族にはとことん深い愛情を向けるので───まあ商店街の皆にはそんなC.C.のことはお見通しなので笑ってみているだけだが───可愛い義妹の為に誰が言わなくてもジノにしっかりと釘を刺しているのだ。
「何かあったら即殺されそうだもんな、ジノセンセの方が」
「うん……」
ルルーシュに続いてカレンもシャーリーもリヴァルも教室を移動する。騒いでいた女の子達はその場に置いてけぼり。









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