ぼくのこころに、きみがくる 12.

高校生に振り回される大人2人。











保護者か恋人か。年齢差に振り回される。
ヘタすれば親子でも有りえるだろうこの年の差に悩まされ振り回される。
そしてこちらを見てくる純粋な目。
「……ということをお前は乗り越えてるんだな」
「まあね。僕の方が深刻だったよ、仮にも里親だったんだから」
整理したカルテを戻していく。とにかく人員を増やす事をしないため、必然的に全員が何でもこなすようになっていた。相変わらず診療時間は記載されている時間を大幅に過ぎてからの終了が続いている。一人一人に出来うる限りの診療を行う、という枢木医院時代からの理念がそのまま引き継がれているのだ。これを当たり前にこなしている。
「でも何をどうやってもルルーシュが必要だった。体裁なんて考えていた自分が馬鹿らしく思えるよ。ルルーシュが全部ぶち壊してくれたんだ」
どうして他の人では駄目なのだろう。そう考えた時点でこの恋は始まっている。ルルーシュ以外では感じたことのない思い。
「そう考えると僕の初恋だったのかな?」


「初恋ねえ……」
「先生? 何か言った?」
カレンがカウンターの向こうから皿を持って現れる。兄のナオトと入れ替わるようにカレンが玉城の店でバイトをしている。とはいえ、女の子なのでディナーの時間までだ。
「お、美味そうだな」
「へへ、でしょ?」
ようやく最近になってカレンは元のカレンのままでジノの前で笑うようになった。少し前の意識しすぎてカチコチになっていたカレンとは違い、自然体そのまま姿だ。
「また腕を上げたんじゃないか?」
「やったー! ルルーシュのレシピなの」
「そうなるとスザクの好みか、これ」
きょとんとしたカレンが声を上げて笑い出す。ルルーシュの生活全般の中心はいつだってスザク先生だ。何がなんでも最優先にすべきことは先生の事。だがそれは先生にも言える事なので、どっちもどっちだ。
「でも美味いな」
「先生、ここソース付いてる」
「どこだよ?」
「ほっぺ!」
カレンが手を伸ばして指先で拭ってくすくすと笑う。

昔スザクが「女の子が買い物に付き合って、というのが分からない。だから、勝手に見てくればいい僕は本屋にいると言ったら怒られた」と言っていた。スザクとしては好みなんて知りたくもない相手だったということだ。ヒドい奴だと返した覚えがあるが、よくよく考えてみれば自分もそう変わらない。
今までの相手に日常の部分を見せることはなかった。
結局、全部見せてもいい相手ではなかったという訳だ。いや、違うな、見せたくなかったんだ。そりゃ、フラれるか。
「カレン」
ん?と首を傾げたカレンを指でちょいちょいと呼ぶと屈託なく近づいてくる。カウンターから身を乗り出して「なあに?」と動いた唇にキスをした。ぱちぱちと目を瞬いていたカレンが、ジノ先生の馬鹿!と叫ぶ。
「ファーストキスがケチャップ味っ!」
スザク、俺も降参します。どうやら初恋のようだ。認めてしまえば、本当に簡単なことだった。


ルルーシュの差し出したテキストの問題を見てからスザクは自分の本棚に目をやり、何冊か開いていたがそのうち捜していた本に行き着く。
「これかな?」
「図書館の司書より先生の方が早い」
笑いながらルルーシュはその本を受け取った。知識的に偏りはあるものの、専門的な事は抜群の蔵書数だ。しかも選択のセンスも凄い。
「……どうしてこの本があってこっちに飛ぶんだろう」
「面白いところだけ買うから」
それが答え。
そのセンスはしっかりとルルーシュにも受け継がれていて、最近は本屋に行って同じ本を手にする事が多く、二人で笑っている。
「頑張っているんだね」
書き込みされ、付箋が張り付けられたルルーシュのテキスト。未来に通ずるその心が目指すのは同じ場所を歩いていたいから、ただそれだけ。
「一緒にいたいと思ったのは本当に君だけだな」
「そうじゃないとオレがイヤだ」
拗ねた顔を見せたルルーシュが笑ってスザクの頬にキスをする。

ああ、ほらまた好きな理由がひとつ増えた。







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