ぼくのこころに、きみがくる 14.

どこも春。








少しだけ女性向表現あり。





「……なんで心配したコッチが気ぃ使わなくちゃいけないんだよ」
だから止めておけと言ったのにとアーニャから突っ込まれること確定だなとジノはやれやれと思いながら車の運転席で大きく溜息をつく。見上げた勤務先の二階は夜もまだ始まったばかりであるこの時間に灯りが消えた。
はいはい、邪魔はしませんとも。
とはいえ、エンジンはかけたい。この場を去ってやるんだから多少は見逃せとジノはキーを回した。

「あ……」
「ん? ああ、ジノの車の音だ」
ソファに腰掛けたスザクの膝の上に乗り上げた格好のルルーシュはそのままスザクの首に腕を回している。前のボタンは全て外されて、スザクの大きな手が白い肌の上を撫でるように愛撫する。待っているかのように尖がった胸の飾りを掠めるだけなのは意図してのものだろう。
「……ジ、ノ先生?」
「心配、したんじゃないかな? 喧嘩したって聞いて」
自分の行動が発端だったから、という事だろう。あの友人は結構そういうところを気にする。
「仲直りしたことが分かったから帰ったんだよ」
「分かった……?」
スザクがくすりと笑って「灯りを消さない方が僕はいいんだけど」と囁けばそこで気付いたルルーシュが真っ赤に染まった。その染め上がった姿を堪能する為にスザクは今まで抑えていた動きを大きいものに変える。それでも待ち望んでいる場所に触れてくれないと、主張しているその場所までルルーシュはスザクの手を握ると導いていく。
「……先生、ここも、はや、くっ」
「ホント、怖いなあ」
こんな顔、絶対に他のヤツに見せられない。ここまで淫らに変わっていくルルーシュを知っているのは自分だけでいい。
「先生だっていつもの先生じゃない」
───オレだけのスザクだ。
覚悟してね、とソファに押し倒されたルルーシュは、自分にのし掛かってくる恋人に笑顔で腕を伸ばし口づけをねだった。

カランと音を立てて扉を開いたジノをその場の全員が振り返って迎えた。
「はい、いらっしゃいっ!」
疲れたようなその表情に皆が笑う。
「行くだけ無駄だった?」
「その通り!」
ジノはアーニャにそう返すとナナリーの皿を見て同じ物が欲しいと玉城に伝える。
「あー、残念。ベーコンが今切れた、」
「あたし、買ってくるから!」
玉城の声を遮ってカレンが飛び出していく。じゃあ違うものでいいや、と言おうとしたジノの言葉は空中分解。苦笑しながら玉城がジノの前に水の入ったグラスを置いた。
「ああも変わるもんなのかねえ。センセ?」
元気なカレンも確かに変わらず居るのだが、また違ったカレンもそこにいる。
「俺も変えられてます」
今まで探しても見つけられなかったものが確かにここにある。カレンが輝いているのなら、同じ未来を見てもいいのなら。
黙ってグラスの水を飲むジノをちらっと見たアーニャは、隣でオレンジジュースのストローをいじっているナナリーに帰ろうかと声を掛けた。
「ウチに泊まる?」
「はーいっ! あ、お兄ちゃんにメールだけしておこっと」
「何だよ、帰るのか?」
「帰る。どこにいてもあてられそうだから。明日も忙しいし」
淡々とそう述べたアーニャはナナリーの携帯をのぞき込む。
「ナナリー、スザクに程々にしろって私からの伝言を付け加えておいて」
「うん」

カレンがベーコンを手に戻ってくるとナナリーもアーニャもいない。
「あれ? もう帰ったの?」
「おい、カレン。お前自分で作ってみろ」
「え!? いいの?」
にっこにこの笑顔でジノの為にBLTサンドを作り始めたカレンと大丈夫かと声を掛けているジノを見ながら、店長の自分はどうやってこの場を抜け出ることができるのかと考える玉城であった。
そして、妹からのメールを見て絶句する兄と、明日が怖いなあと笑う保護者あり。


****
春真っ盛り。


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