ずっと君をさがしてた 49.

全ての仕掛け人。






枢木親子はお互いを見てはキッチンの方をちらりと伺い、再び相手を見る。
「……帰ってくるのは来週だって言ってたろ?」
「相手先の社長が虫垂炎になったんだ。それで早まった」
ふうんと返事をしながらそれでも不機嫌そうな顔の息子に父もため息をつく。
「……リビングってこんなに広かったか?」
「掃除してるんだよ」
「お前が?」
そうだとスザクは頷いた。しかしながら、掃除しておかないと先輩連れ込んでも掃除から始めるんだもん!とは言えず、毎日しているからねと自慢だけしておいた。それよりも気になるのはルルーシュだ。ただひたすらに料理しているが、体の方が相当辛いんじゃないかなあと思う。
恥ずかしさといたたまれなさでどうしようもなくて動いているんだろうな。
「……おいスザク」
「何?」
「例の重箱の主か?」
「……そう……」
生徒会副会長で、成績優秀学年トップで、超絶美形で、料理も抜群。
「あんまり無理させないようにな」
「……いつからいたんだよ」
「お前達が風呂の中で騒いでいたときだ」
父ははあ、とため息をついた。本当は荷物をおいて家を出ようかとも思ったのだが、潔く顔を会わせてしまった方が後日に回すよりも双方遙かに楽なはずだと腹を括って残ったのである。だが、やっぱり居ない方が良かったと───。
「……あんな声出させて」
「父さん!?」
「仕方ないだろう、不可抗力だ! ここまで聞こえてきたんだぞ!」
「ああ……僕だけの先輩が……」
「だったら他でやれ!」

「……食事、出来たが……」

親子で振り返れば真っ赤に染まったルルーシュが立っていた。


「今日はナナリー特製ハンバーグでーす」
ナナリーは破顔しっぱなしの父の前に皿を置いた。ハートに整えられたハンバーグには同じくハートの形をした目玉焼きが乗せられていた。
「あら可愛いわね。こういうのはやっぱり女の子ね、ルルーシュとは違うわ」
いただきますと口に入れた母が腕を上げたじゃないとウインクをする。愛娘の手料理に父は涙を流さんばかりに感動しながら食べている。
「いつでもお嫁にいけるわねえ」
「馬鹿者! 誰にもやらんわっ」
「えー、お父様それではナナリーはオールドミスになっちゃいます」
くすん、と泣き真似をしたナナリーがぺろっと舌を出せばシャルルとマリアンヌも顔を見合わせて同時に笑い出す。
お兄様、ナナリーは笑っていますよ優しい世界で。だから───。
宿題を終えたナナリーは誰かが外にいる気配を感じ、窓から覗いてみる。街灯の中に浮かぶ細い影にナナリーは笑顔を見せて母達に見つからないようにと玄関のドアを開けた。
「C.C.さん」
C.C.は風に揺れる緑の髪を手で押さえながらナナリーに微笑んだ。
「元気そうだな、ナナリー」
「はい」
「それでどうだ? あの坊やは」
「お兄様はスザクさんの隣にいます」
「ようやくか」
ナナリーはもう一度「はい」と答え、有り難うございましたと頭を下げた。ナナリーが望んだのは大好きな兄が幸せに笑うことだ。スザクが願ったのはルルーシュを守り抜くこと。
「スザクさんは記憶が無いようなんです」
「なんだ、あれだけ散々拝み倒しておいて」
クスっと笑ったナナリーはそれで構いませんとC.C.に答えた。
「記憶がないのにお兄様のお隣を選んでくれているんです。私はそちらの方が嬉しいです」
色々イレギュラーも発生したがルルーシュはスザクを見つけ、スザクもルルーシュを見つけ、お互い必要として今は二人でいる。それでいい。
「今度のお兄様は凄いです。ご自分からスザクさんが必要だと動いているんですよ」
「あの馬鹿は私があれだけ言ったのにあの時は動かなかったんだ」
必要だと言い出せない間に最も欲しい人間は最悪な敵となった。そして最終的には最愛の男に殺されたルルーシュと、最愛の人を手に掛けたスザク。お互いにたった一言伝えていれば変わったかもしれないあの世界。
「……それでも今笑っているならいいか」
「はい」
「そうだ、今度私もあいつを弄りに来よう。どうせ枢木は今でも嫉妬丸だしで独占欲にまみれているんだろう?」
「あら、C.C.さん分かるんですか?」
「……一番外れて欲しい予想だったんだが」
C.C.は酷く嫌そうに顔を顰め、その顔にナナリーははじけたように笑いだした。


最初は無言の空気に包まれていた枢木家の食卓だったが、一口食べた父の賞賛の言葉にルルーシュが笑みを見せ、スザクが拗ねるころにはもう笑いが起きていた。
「良かったぁ」
ベッドにころんと横になるとスザクはうーんと背伸びをする。
「何がだ」
「んー、先輩笑ってるし、もう帰るって言うんじゃないかと思ってたんだ」
おいでよ、と隣をぽんぽんと叩くスザクにルルーシュはこう宣言する。

「言っておくがもう今日はしないからな」

「えーっ!?」
「えーっ、じゃない!」
あれだけ貪っておいて、まだ足りないのかこいつは!
「明日も学校があるだろう! 試験も近いのに休めないぞ。それにスザク、お前大会もあるんじゃないのか? 練習を休むような奴の応援には行かないぞ、オレは」
「えーーーっ駄目、絶対に駄目!」
「それじゃ今日はもう寝る」
「はぁー…………い」
何かやらかしそうなら一発殴ってやるかと考えていた父は会話を聞いて肩を揺らす。どうやら心配は無用らしい。



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