ずっと君をさがしてた 50.

食べ盛りですから。









二時限目の休憩時間。

「いっただっきまーす」
嬉しそうにおにぎりを食べているのはスザクだ。そのおにぎり、かなり大きい。それを左手に持ち、右手の指先でシャープペンをくるくると回しながら机の上に広げられたテキストとにらめっこ。すっかり定着したスザクの姿だ。
「……あ、今日はこんぶおにぎりだ」
「おーいスザク」
「んー何? 一口も、あげないよ?」
そんなもん改めて言われなくともジノだって分かっている。何せ、おにぎり制作者はあのルルーシュ先輩である。朝しっかり食べても昼まで到底持たないスザクの胃を満たす為に、握られるそれは本当に大きい。ただご飯が握ってあるだけなのに、これがルルーシュが作ると「すっごく美味しい!」ものになるらしい。らしい、というのは当然の事ながらスザクが一口だってお裾分けする訳がないので、スザクの話しか分からないためである。他のおかずならともかく、あのルルーシュの細くて綺麗な手で愛情込めて『ギュッ』と握られたおにぎりなんて素晴らしい物を誰かに食べさせる訳がない。最も「他のおかず」もその他の口に入る可能性はゼロに近い。
「あー美味しい。塩加減も抜群なんだよねー」
「楽しんでいるところ申し訳ないが、もっかいダブルデートしないか?」
「ヤダ」
即答で返すと、もくもくとよく噛んでごくんと飲み込む。シャープペンを赤のペンに持ち変えると問5にラインを引いた。
「……ここわからないから先輩に聞こっと。ダブルデートなんてしないよ、ジノが自分でカレン先輩誘えばいいだろ? 僕は先輩と二人がいい」
「んなこと言わずに、お願いしますっ!」
巨大おにぎりを食べ終わるとスザクは添えてあったお手拭きで指についた海苔を拭う。
こんなとこまで気を使ってくれるんだよなぁ、よし!今度は僕も気を使おう。やっぱりジェル用意した方がスムーズで先輩も楽だよね、うんうん。
「だってさジノはもう告白しまくってるし、撃沈しまくってるし、今更ダブルデートなんてしても意味ないじゃん」
「言うなぁああああああっ!」
これが何となくいい雰囲気になっていてなかなか発展しないから、とかいう事であれば協力してやってもいいが、あの状態では進展する気配もない。
「それに、カレン先輩がいるとルルーシュ先輩とるからヤダ」
ジノと並ぶなんて以ての外、スザクとも並びたくない、となるとカレンが並んで歩くのはルルーシュだけになる。どうして自分の恋人が他の人間と歩いている姿を恨めしそうに後ろから眺めなければならないのだ?
「という訳だから、絶対にイヤだ。ジノも頑張れば? 本気で告白したらいいんだよ、あんなおちゃらけた告白じゃ落ちないよ?」
「わたしもそう思う。だからジノはフられ続ける」
アーニャからの真実の言葉でジノは机と顔面衝突した。そして、こういう事するから本気にされないんだよ、とクラス全員から冷たい視線が送られていることに気づかない。


「……本当に欲しいならちゃんと言わないと」
「ん? どうした?」
「何でもないです。先輩、ここ解んない」
どれ?とスザクの広げたテキストをルルーシュがのぞき込んだ。髪を耳にかける仕草も凄く綺麗だと思う。
「途中までは出来るだろう? この前教えたところだ。 解るところまでやってみろ」
そういってルルーシュは手元の生徒会の書類に目を落とす。本日のランチはここ生徒会室。相も変わらず、ミレイが当日になって「あーーーーっ! 忘れてた!」と叫んで執行部が昼休み返上での作業と相成った。とはいえ、そこまで人数を要するものでもない為、スザクはこうして宿題をここで片づけている。

いつもであれば二人っきりのランチタイム、あーんぱくで食べさせてもらうランチタイム、いちゃいちゃしまくりのランチタイム、キスしか出来ないけれどとろとろにさせた先輩が今頃どうしているかな、なんて考える事で午後の授業を乗り切る為の重要なランチタイム───が今日は本当に面白くない。
しかも今日は道場の日だから先輩は家に来てくれないというのに!

「……僕の至福の時を」
ぼそっと呟いた一言に会長、副会長を除いた生徒会メンバーは「ひえ~」と震え上がる。ミレイはあらごめんなさいねと飄々としているし、ルルーシュはにこにことしているだけだ。
「こんな時間まで勉強なんてお前変わったな。うん、いい傾向だ」
そりゃ必要ないのに居座るためには「先輩に勉強を教えてもらう」というのはとってもいい口実なのだ。その上ルルーシュの中でスザクの株も上がるし、課題も片づくし一石二鳥。とにかくルルーシュの側にいる為にスザクは必死だ。

だって絶対に離れちゃいけないんだから。

「出来た!」
「お、流石だ」
それでも誉められれば嬉しい。本当に単純なことだとは思うのだが、とにかくルルーシュが笑ってくれるのが嬉しくてしかない。そして自分のことを考えてくれるのが嬉しい。

好きな人が自分を見てくれる。好きな人に好きだと言える。これがどんなに幸せなことか。

「本当に幸せだよね……」
「スザク?」
スザクは向かいに座るルルーシュの方に身を乗り出した。
「ねえねえ先輩、今度二人でデートしましょう」
「え、あ、………………うん」
これでダブルデートは絶対にキャンセルだ!ジノも勇気出せばいいのに。道化のまま終わっちゃうよ?



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