Petit Dieu 20.

決定。








窓から眺めれば大きくて丸い月が見える。
「お月様は変わらないんだね。星の位置はちょっと違うけど」
スザクは思い出す。月が眩しい夜に、神社の屋根の上で一晩を過ごしたものだ。スザクの枢木神社には狛犬もおらず、昼間は賑やかな鳥達も華やかに咲き乱れる花達も眠りについて夜はしんと静かだった。いつもは一緒に眠っていたスザクだが、月が昼間のように輝く日は一人屋根の上で光りを浴びていた。あの本殿はどうなっているだろう。周りの木々達は無事だろうか。

刀は見つかった。

どうしてこんなことになったのか、それは分からない。はっきりしているのは皆もばらばらになっているということだ。確かにどれもこれも美術品として素晴らしいものばかり。スザクの刀だって名工の作品だ。鞘から抜けば刀身はいつだって美しかった。
「勝手に研いでなきゃいいけど……」
見よう見まねでおいそれとは出来ないのが刀の研ぎだ。この国の武器とはまるで違うをれを、得意げに弄っていない事を願いたい。
スザクは自分の小さな手のひらを眺め、何度か握っては開くを繰り返してみる。いつからあの柄を握っていないのか。
「刀があったら大きくなれる……かな?」
窓に腰かけたスザクからキッチンでアーニャの湯あみを手伝っているルルーシュがよく見える。アーニャのふわふわした桃色の髪はよく乾かしておかないと翌日爆発する。その為、いつもは風に手伝わせて乾かしていたアーニャの髪をルルーシュが乾かしているのだ。
「熱くないか?」
「うん、大丈夫」
アーニャが、ちょんと腰かけた後ろから、ルルーシュは温風をあてている。時折指先で優しくアーニャの髪をほぐしている、その横顔が本当に綺麗で───。

欲しいな、とそう思う。

どうしてもルルーシュが欲しい。
こんな異国に飛ばされたその意味があるのだとしたら、スザクがルルーシュに出会うその為であったとはっきり断言出来る。しかも、だ。飛ばされてきた仲間で、すぐに見つかり動ける者達は全員スザクの友達だ。どう頑張ってもこれ以上の仲間は揃わないだろう。
「……絶対に邪魔をするに決まってる神楽耶がいないのが決め手だよね」
その上、一番面白がってくれそうなミレイもこちらにいるのが分かったし、そのミレイの言葉に絶対に歯向かうことのないリヴァル。
「皆に手伝いをさせよう。うん」
決定。

「スザク! お前も湯を使うか?」
「うん! 使う!」
とてとてと歩いてきたスザクはルルーシュに何か言いたげな目をして見上げてくる。
「どうした?」
「それ、僕もやって」
ルルーシュは人形用のブラシでアーニャの髪を梳いていた。ドールハウスの店での買い物が非常に恥ずかしかったので、現在はネットで買い物をすることにしている。もっともモニターを眺めながら「あれも可愛い」「これもいい」と選んでいる姿も決して人には見せられたものではないのだが。
「ああ、いいぞ」
「やったあ」
無邪気に笑うスザクにルルーシュも笑みを見せる。

この笑顔、絶対に持って帰る!

その決意を見抜いたアーニャは、こっそりため息をついた。





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