Petit Dieu 25.

神が願うから。








崩壊してしまった博物館、しかしながら一人として怪我人が出なかったのに加え、収集品に関してもどれも壊れることはなかった。
「神、の加護っていうことでしょうか」
「うーん……」
ロイドの歯切れが悪いのは致し方ない。何といっても、博物館の奇妙な物音や、建物が軋むのを実際に経験しているからだ。とりあえず、博物館と今日訪れた大学の資料室が双方使いものにならなくなり、急遽ロイドたちのところへ全ての収集品がまとまることになったのだが、手放しで喜べるという状況ではなかった。
「加護とは違うような気がするなあ」
実際、陳列した状態そのままで壁や天井だけ崩壊しているという奇妙な現象を目の当たりにすれば、そんな感想を持つだろう。
しかも、だ。
「ロ、ロイドさん、また!」
「うわ……」
敷地内の木という木に鳥が集まっているのだ。もちろん、鳥だけではない。猫も来るし、犬もいる。それらが全部同じ部屋の方を向いている。神具を納めた部屋だ。
「彼らには分かるのかなあ、神様がいるって」

その部屋ではなんだかんだと上手いこと一纏めになって、安堵している神達である。全員でぼそぼそと相談中。何にしても、こちらに持ち込まれてしまっている状態では動けない。とりあえずはウチに帰りたい。
「ここじゃ動けないわね」
ミレイがうーんと背を伸ばした。きちんとした場所に奉られてこそ、神だ。ここではただの美術品扱い。そのミレイの横で、アーニャがぶすうと頬を膨らませている。その怒りの原因はスザクだが、ここにはいない。ちゃっかり依代を変えてちっちゃくなるとルルーシュと一緒に帰っていったのだ。
「……狡い、スザクの馬鹿、ルルーシュのご飯」
「何、そんなに美味しいの?」
ミレイの問いにアーニャはこくんと頷いた。ご飯だけではない、お風呂も用意してくれるし、髪も梳いてくれる。ふかふかの寝床もある。
「私はそれよりもあの馬鹿がルルーシュ食べちゃってるんじゃないかと思うと!」
気が気じゃない!と叫ぶカレンにジノはあの小ささなら何も出来ないだろうと宥めるが、奥方は旦那の意見を真っ向から否定した。
「甘い! あのスザクが欲しいもの目の前にして何もシないわけがないでしょう?」
「だけどあの大きさでは……」
ジノの太刀の横に、スザクの刀が置いてある。こちらに移せなくては大きくはなれない。
「御神酒よ。ルルーシュ仕舞い込んでたけど、あの馬鹿のことだから、どーせウルウル頼んで出してもらってルルーシュ、食べちゃうのよ! 神のくせに本能には負けるってほざいてた!」

かくして、カレンの出した予想であるが、その予想に違わず現在スザクはルルーシュを押し倒している。お祝いだから、と上目遣いでお願いすればルルーシュはあっさりと日本酒を出してくれた。頭いいのに、本当にこういう面では学習出来ないのである。 呑んだスザクが大きくなってあわあわしていたルルーシュは、ひょいとひっぱるだけであっさりと腕の中に落ちてきた。
「ス、スザク」
「無事で良かったね」
にこっと笑いながらスザクは自分の着物の襟を胸元までくつろげる。さらけ出された胸板の厚さに思わず耳まで赤くなるルルーシュだ。
「っ!」
「いきなりあんな事になったけど、原因は何だと思う?」
「原因? スザク、ち、近い……」

ルルーシュ誘拐に関してはどうやっても事実であるため、犯人グループは警察に引っ立てられた。全員引き渡しだ。ついでに、皇帝復活説を唱えていたグループもまとめて逮捕だ。
建物が崩壊した点については、数日前から(ジノが暴れて)崩れかかっていたということで、老朽化による崩壊が一気に進んだ、と話はついた。大学の資料室が同時に壊れたことについては詳細は解らずじまいだが、いつの間にか丸く収まってしまっていた。
これも全部神がついているからだろう。

ルルーシュの顔の両脇にスザクは腕を置くと、肘を曲げてさらに距離をつめる。反射的に押し返そうとしたルルーシュだが、スザクの体はビクともしなかった。それよりもスザクに触れたことで指先から体が熱くなった。ドクンと何かが流れ込む感じだ。
「……ん」
スザクは笑ってルルーシュの髪を撫でる。
「ルルーシュが願ったからだよ。『皇帝になりたい』って思わなかった?」
ルルーシュの驚愕の眼差しをスザクはそのまま受け止めた。

───皇帝だったら?

「……な、なんで……いや、でも」
「今まであんなに拒否してたのに、どうして?」
スザクの視線に耐えきれずにルルーシュはふい、と横をむく。その為に白い首がかえってスザクの前に晒されたことには気づかない。そのまま舌先で舐めようかと思ったスザクだったがすぐに引っ込めた。ルルーシュがぽつんと呟いたからだ。
「……皇帝だったら、全部日本に返せると思ったからだ……」
舌を引っ込めたかわりに、そのまま抱きしめる。
「スザク!」
「もお! どこまで可愛いのかなあ!」
「だが、思っただけだ! どうして思っただけで、あんなことになるんだ!」
「ルルーシュが殆ど神に近い存在になってるからだよ。神の望みだ、叶えようと世界が動く」
「…………え? な、何……オレ?」
スザクはゆっくりと体を起こした。脱ぎかけになっていた襟を大きく広げ、肩から落とすとそれだけで上半身脱ぐ事が出来る。
「スザ……?」
「もっと、近づけてあげる。僕と一緒になろうよルルーシュ」
そのまま、顔をよせると唇を重ね合わせた。








ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 55

驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた
面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)
かわいい かわいい かわいい かわいい