レギュレータ regulator 1.

双子ラウンズ、新連載










「もうちょっと……っ」

ゼロは聞こえてきた声にふと耳を澄ます。
誰だ?
その声につられ視線を巡らせば木の上に白い騎士服。その騎士服はこのブリタニア帝国皇帝を守護する騎士達にのみ許された制服だ。ナイトオブラウンズ、その一人がそれほど太くもない枝の上でバランスを取りながら腕を伸ばしている。
「あと少し……」
その手の中でなにやら動いている。そしてラウンズの頭の上には一羽の鳥がけたたましく騒いでいた。
「ちょっと待てって。巣に戻してやってるんだろ。よし、戻っ……うわっ、なっ待て!」
どうやら鳥の雛を巣に戻してやっていたようだが、そんなことはわからない親鳥からの攻撃。おかげでラウンズはバランスを崩し、枝から落下。
「ってぇ」
「災難だな、ナイトオブファイブ」
くすくすとした笑い声に振り返った騎士は相手が皇族───ゼロ皇子であると気付いたのだが、膝をつくことも忘れて驚いた顔をこちらに向けた。
「違うのか?」
「いえ、あのええと、そう……です。あ、しまった!」
慌てて膝をつこうとするナイトオブファイブに対し、ゼロは面倒だからそんなことをするなと片手で制する。
「どうしてそんなに驚いた顔をするんだ」
「……自分と弟を見分けられる人間がここにはいないので」
ラウンズに双子の兄弟が任命されたのは少し前だ。任命されたのは日本国首相の息子達、枢木ゲンブとスザク。この双子、背丈も声も同じで外見では区別することは非常に難しい。その為にラウンズのマントは区別するにはまったくもって、いいアイテムであった。言い換えればマントが無いと誰も区別出来ないということだ。ファイブのゲンブが濃いエンジ、セブンのスザクが濃いブルー。だが、今はマントを羽織っていない。それなのに、この皇子はゲンブだと言い当てて見せた。
「ああ、なんだそんなことか。全く違う人物なのに間違える方がどうかしてるぞ。お前達この前の夜会、マントを入れ替えていただろう?」

それはちょっとした遊びだった。誰も見分けることが出来ない二人。ゲンブがブルーのマントを、スザクがエンジのマントを羽織る。ナイトオブファイブと声を掛けられればスザクが返事をし、セブンと話しかけられればゲンブが答えた。
誰も気付かない。
ラウンズの中では比較的仲の良いとされているジノさえも何も言わなかった。
そんなものかと思っていた。

「気付いて……」
「同じラウンズが気付いていないのにはどうかと思ったが、オレとルルーシュは気付いた。オレ達も双子だからかもしれないが」
ゼロは笑うとポケットから手帳を取り出し、挟んであった絆創膏を一枚ゲンブに手渡した。
「額、擦りむいてる」


「ゲンブ! ゲンブってば!」
「へ?」
振り返ればスザクがむっとした顔を見せている。
「さっきから何度も呼んでるのに、何だよ」
「悪い」
指先で持っていた絆創膏をポケットにしまうとゲンブも立ち上がる。
「何かあった?」
「んー、ちょっとね」
珍しく笑みを浮かべている兄をちらりとスザクは見たが、それきり何も聞かなかった。
「今度はどこだって?」
「中東上陸作戦の前準備段階でテロ発生」
「……ご苦労なことだな」
侵略を続けるブリタニア。このままでいくと世界地図には一つの国しか残らないのではないのか、と思う。一体どうしてそこまでして、と思ってしまうのはここが自国ではないからなのだろう。今のところ、侵略されていない日本。だが、僅かな猶予しかないのではないかと感じている。いくら自分達がここで頑張ってみたところでどうにもならない気がする。だがやらなければならないのも分かっている。
「……このままでいいのかな」
「仕方ない、としか言いようがないけど」
「うん……」



***
レギュレータとは、電子回路の一種で、出力される電圧・電流を常に一定に保つように制御する回路のこと。

お馴染みの枢木双子ラウンズ編です。





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