ずっと君をさがしてた 65.
ばかっぷる。
「あら、王子様来ないの?」
スザクのところに泊まると自宅に連絡を入れれば、母マリアンヌは受話器の向こうで不服そうな返事をした。
「いつもお持ち帰りばかりされて! 今度はルルーシュが王子様をお持ち帰りしなさい!」
「なっ!」
「あ、私がいる時にしてね? じゃあ頑張ってね~」
そのままぶちっと切れた携帯をルルーシュはわなわなと震えながら、握りしめている。
そうだ、これから頑張らなくてはならないのだ。ス、スザクに奉仕させなくてはならないんだ!一体、何をさせればいいんだ!
ちょっとおかしな方を向いてしまっているのはルルーシュだから仕方ない。
あんなことを言わずにそのまま自分が執事のままでいれば良かった。そうしたら言われるがまま動けば良かったのだからと今更後悔しているが、もう仕方ない。とはいえ、どんなことを命令されるかもわからないのだから、どっちもどっちといえよう。『執事ごっこ』自体を辞めればいいという考えはルルーシュにはないらしく、相変わらずスザクにはとことん甘い。
スザクの家のリビングでうろうろしていると部屋のドアが開いた。
「どうかな?」
ルルーシュの執事服を着たスザクが姿を現す。
背格好はそんなに変わらない2人なので、ルルーシュの衣装でもスザクは大丈夫だったようだ。しかしながら腕の太さなど細かいところはさすがに違うので、スザクは二の腕あたりがキツイと引っ張っているのだが、ルルーシュの耳には入ってこない。
かっ、格好いいじゃないかっ! さすが、オレのスザク!
姿勢がいいからこういう格好すると似合うんだな。そうなるとシンデレラの王子の衣装は頂けなかった。シャーリーが一人で衣装を頑張っていたから既製のもので済ませるのは致仕方ないにしても、せっかくのスザクが!
「先輩?」
いや、よく考えろ。あれで王子役がばっちり決まっていたら大変なことに成りかねないぞ?あれがコメデイで終わって良かった。
「ルルーシュ先輩」
ラフな服もいいが、フォーマルなスザクもいい!
「せんぱーーーい?」
「ほわああっ」
にまにまと恋人を眺めていたルルーシュはその顔が目の前に現れて後ろに後ずさる。そのまま後ろのソファに倒れ込んだが、勿論スザクの腕がルルーシュを抱き止めたので衝突には至らない。
しばし、そのままの状態が続く。
「これいいなあ。主を組み敷く背徳感!!」
「…………」
「あ、いいシチュだと先輩も思ったでしょ?」
「……思った……あ……」
スザクは、しまったという顔のルルーシュを押し倒したまま、にっこり笑って手袋を歯でくわえつつ抜き取る。目は離さない。
「旦那様、宜しいですか?」
ルルーシュは真っ赤になって口を押さえ、じたばたともがいた後で上目づかいでスザクを見た。
「お前、それ反則だろうっ!」
「先輩こそ何、破壊力抜群の顔してくれるの!? もう駄目、絶対駄目、いただきます」
だが、スザクのタイを弛める手をルルーシュが止めた。
「スザク!」
「何? 止めないよ?」
スザクの手を取ったまま、何度もぱくぱくと口を開いたり閉じたりしていたルルーシュだったが、意を決したようにスザクを見た。
「お前はそれ、脱ぐな! 着たまま!」
「主がそうお望みならば」
さらに真っ赤になった主に、執事は奉仕を開始する。
その後。さんざんな執事服を前にスザクとルルーシュは腕組み状態だ。
「……スザク、捨てるという選択はないのか……?」
「無いよ! 先輩にも執事してほしいから! だいたい、これ全部先輩の精、」
「言うな! 口に出すな! いい! オレが洗う!」
「あら、王子様来ないの?」
スザクのところに泊まると自宅に連絡を入れれば、母マリアンヌは受話器の向こうで不服そうな返事をした。
「いつもお持ち帰りばかりされて! 今度はルルーシュが王子様をお持ち帰りしなさい!」
「なっ!」
「あ、私がいる時にしてね? じゃあ頑張ってね~」
そのままぶちっと切れた携帯をルルーシュはわなわなと震えながら、握りしめている。
そうだ、これから頑張らなくてはならないのだ。ス、スザクに奉仕させなくてはならないんだ!一体、何をさせればいいんだ!
ちょっとおかしな方を向いてしまっているのはルルーシュだから仕方ない。
あんなことを言わずにそのまま自分が執事のままでいれば良かった。そうしたら言われるがまま動けば良かったのだからと今更後悔しているが、もう仕方ない。とはいえ、どんなことを命令されるかもわからないのだから、どっちもどっちといえよう。『執事ごっこ』自体を辞めればいいという考えはルルーシュにはないらしく、相変わらずスザクにはとことん甘い。
スザクの家のリビングでうろうろしていると部屋のドアが開いた。
「どうかな?」
ルルーシュの執事服を着たスザクが姿を現す。
背格好はそんなに変わらない2人なので、ルルーシュの衣装でもスザクは大丈夫だったようだ。しかしながら腕の太さなど細かいところはさすがに違うので、スザクは二の腕あたりがキツイと引っ張っているのだが、ルルーシュの耳には入ってこない。
かっ、格好いいじゃないかっ! さすが、オレのスザク!
姿勢がいいからこういう格好すると似合うんだな。そうなるとシンデレラの王子の衣装は頂けなかった。シャーリーが一人で衣装を頑張っていたから既製のもので済ませるのは致仕方ないにしても、せっかくのスザクが!
「先輩?」
いや、よく考えろ。あれで王子役がばっちり決まっていたら大変なことに成りかねないぞ?あれがコメデイで終わって良かった。
「ルルーシュ先輩」
ラフな服もいいが、フォーマルなスザクもいい!
「せんぱーーーい?」
「ほわああっ」
にまにまと恋人を眺めていたルルーシュはその顔が目の前に現れて後ろに後ずさる。そのまま後ろのソファに倒れ込んだが、勿論スザクの腕がルルーシュを抱き止めたので衝突には至らない。
しばし、そのままの状態が続く。
「これいいなあ。主を組み敷く背徳感!!」
「…………」
「あ、いいシチュだと先輩も思ったでしょ?」
「……思った……あ……」
スザクは、しまったという顔のルルーシュを押し倒したまま、にっこり笑って手袋を歯でくわえつつ抜き取る。目は離さない。
「旦那様、宜しいですか?」
ルルーシュは真っ赤になって口を押さえ、じたばたともがいた後で上目づかいでスザクを見た。
「お前、それ反則だろうっ!」
「先輩こそ何、破壊力抜群の顔してくれるの!? もう駄目、絶対駄目、いただきます」
だが、スザクのタイを弛める手をルルーシュが止めた。
「スザク!」
「何? 止めないよ?」
スザクの手を取ったまま、何度もぱくぱくと口を開いたり閉じたりしていたルルーシュだったが、意を決したようにスザクを見た。
「お前はそれ、脱ぐな! 着たまま!」
「主がそうお望みならば」
さらに真っ赤になった主に、執事は奉仕を開始する。
その後。さんざんな執事服を前にスザクとルルーシュは腕組み状態だ。
「……スザク、捨てるという選択はないのか……?」
「無いよ! 先輩にも執事してほしいから! だいたい、これ全部先輩の精、」
「言うな! 口に出すな! いい! オレが洗う!」