レギュレータ regulator 76.

友達。










「ニーナ……あんた、」
「やっぱりカレンだ……」
学校のクラスメートと会う場所としては、とんでもなく場違いであることは間違いない。
「行方不明になったって皆心配してたわよ!」
「うん……」
ニーナが、しょぼんとうなだれると、癖毛のお下げも同時に下を向く。

ミレイは確認してからの方がいいとニーナを止めたし、シャーリーもリヴァルも本当に大丈夫なのかと何度も引き留めてくれていた。
でも、ブリタニア本国でシュナイゼルから受賞の祝賀をと言われ、しかも自分のつたない研究に対して非常に興味があるよと誘われてしまえば───。

「ごめん……ね」
ニーナが悪い訳ではないのは分かっていても、ついつい叫んでしまうのは致し方ない。膝を抱えて座り込んだニーナの隣にカレンもしゃがみ込んだ。どこかに監視カメラがあるはずだ。それを避ける為に、口元を膝や手で隠しながら二人はぼそぼそと話始めた。
「リヴァルがね、スザクにニーナが行方不明だって連絡してきたのよ」
「スザク……ゲンブも元気?」
「何とかね」
そっか、と小さく呟いてニーナはカレンに下を向けと合図してから小さい錠剤が乗った手のひらを見せた。
「何よ、これ」
「こっちに来てから飲まされてたの。栄養剤だって。最初は分からなくて飲んでたんだけど……」
ニーナはふと気付く。ある時間の記憶がない。
「記憶がない?」
「……わたしの研究、元々はウラン235の核分裂反応の研究を、」
「核、分裂??」
いきなり物理の授業のような単語が出てくる。だが、確か似たようなことをラクシャータも話していた。
「何か凄い爆弾が造れるとかって聞いたけど」
「……そうなの」

ニーナはブリタニアに到着して、祝賀どころかすぐにある研究室に連れていかれる。そこはシュナイゼル直轄の研究チーム「インヴォーグ」であった。最初は何もかも整い、何でも揃う環境に喜んでいたニーナだったが、自分の研究が大量破壊兵器の開発製造の為だと知る。そのとんでもない威力の大きさに茫然自失となるが、当然のことだがシュナイゼルがそこで手放すわけなどない。日に日に元気を失っていくニーナに手渡されたのが例の薬だった。

「初めは……何もしないまま一日が終わっていくと思っていたのだけれど、でも疲労感はあるし、すっきりしないから服用を止めたの」
薬を止めてニーナは知った。薬の効き目のある間は自分は人の言いなりになって、ずっと研究を続けていたことに。
「ちょ、ちょっと待ってよ。それじゃその間は人形のように動くってこと? そんな話……」
信じられる訳がない。だが、カレンに思い当たる話があるのだ。
「……皇帝、陛下」
枢木首相とルルーシュの会話だ。まるで人が変わったかのような、と話していたではないか。
(例えば、例えばよ、皇帝を宰相が操っていたら……)
もしも、この薬を皇帝に服用させれば、演説も何もかも操れる。宰相が、皇帝を自分の意のままに動かそうとしたら───。
「……カレン?」
「ニーナ! いい、あんたはその爆弾何とか出来る? もうあれ完成してるのよ。この前実験やっていたの!」
「何とかって、」
「わたしは黒の騎士団のメンバーなの。ルル……リーダーが絶対に助けてくれると約束したわ。あの人は絶対に何とかしてくれる。あんたも一緒にここを出てあれを止めなくちゃいけない」
「……カレン……わたし、が」
「作ったあんたには壊す義務がある」


ゲンブとスザクは差し出されたカレンの報告書を受け取った。最初にゲンブが目を通し、スザクに渡す。スザクは、よくぞここまでと思うほど調べあげているのを半ば感心しながら眺めた。だが、肝心要の部分はどうにもならないのだろうというのもよく分かる内容だ。
シュナイゼルは双子のラウンズを眺めながら、椅子の背もたれに体を預ける。
「私は君たちは彼女と友人だと思っていたのだが」
「自分もそう思っていました」
ゲンブは正面からシュナイゼルの目を見据える。
「僕は今でもそう思っています」
今度はスザクのまっすぐな声がシュナイゼルを貫く。
出生や、その後の父親側の認知問題などは調べることは簡単だ。だが、彼女が体を張って二重生活を貫き通していたことなどは、そう簡単には分からない───結局、ラウンズの二人との接点という接点はほとんど見つからなかったのだ。日本にいた頃からの友人、アッシュフォード学園の学友。表向きの情報しか手に入らない。カレンは全く関係ないのだという態度をずっと貫き通している。その中にはジノについても含まれていた。
一礼して執務室を退出する二人の後ろ姿に、シュナイゼルの視線が突き刺さっていることを感じずにはいられない。それをはねのけるように、マントを大きく翻して二人は歩く。
「……どうにかしたいっていう感じがありありと分かるよな」
「ルルーシュが……ルルーシュが凄く落ち込んでた。自分のせいだって」
モニター越しの姿はもどかしく、君のせいじゃないと言う言葉も届いているのかどうか。
「ちょっと時間出来たら殿下のとこに行って来いよ。こっちの情報をナオトさん達も聞きたいだろうし」
「うん、そうする」
カツカツと揃った靴音を立てながら、ゲンブとスザクは歩いていく。

世界状況は悪くなるばかりだ。まず、どこから取り掛かれば一番被害を抑えることが出来るのか。
「……コーネリア殿下に、」
「全部話した方がいいよね」
まず皇帝の足跡を辿らなければならないだろう。そしてゼロを助け、カレンもニーナも。とんでもなく大きく分厚い壁が行く手を遮っているが、皆で壊せばなんとかなる。
計画を立て直そうと特派に向かった2人の目には、「紅蓮」を前に手を叩いて大喜びしている特派主任と副主任の姿があった。




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