レギュレータ regulator 89.

刻々と変わるもの









ダモクレスを取り囲むKMF。
何故、とスザクは思う。もう完全にシュナイゼルは世界の敵になっているはずだ。綺麗事を並べながら、やっていることは力ずくの卑怯な方法でしかない。

なぜ、あの兵達はシュナイゼルの為に動くのだろうか。あれが洗脳とでもいうものなのか。

「さあな、俺にも分からないけど、あのアホの考えていることは分かる」
ゲンブの視線の先にはルキアーノのパーシヴァルの姿があった。今まで、引いては押し押しては引いての繰り返しであったこの戦局に一石を投じた───といえば聞こえはいいが、おそらく我慢の限界にきたということだろう。
「奇遇だね、僕にも分かるよ」
兄は弟のセリフに声を出して笑ってから、スラッシュハーケンを手にする。それが合図になり、ようやく変化が訪れる。
敵主力である戦艦アヴァロンやイカルガではなく、元チームメイトに襲いかかってくること自体おかしな話だ。
ルキアーノは元から帝国への忠誠心で戦うなどしていない。戦場というのは彼にとって、合法的に殺人を行える格好な場所。
今まで殺りたくても殺れなかった2人が、現在目の前にいる。
「楽しませろよ、枢木!!」
「ばーか」
「ホントにね」
パーシヴァルはまっすぐに向かってくるが、残念な事に───もうエクタードマリスとランスロット2機は、相手にすらならない。2人の動きの違い、KMFの機能の違い。
絶対に避けられることない攻撃を、2機は完全に避けている。避けるというよりも受け流すと言ったほうがいいかもしれない。あしらわれていると理解したルキアーノの怒りは相当なようだ。
ゲンブとスザクが自らの思うとおりに、動くKMF。これこそが世代の違い。
「セシルくん! データとってる!?」
「……とってますけど……これ要るんですか?」

『ちょっと、ゲンブ! スザク! そこどきなさいよ!』
鋭い少女の声が戦闘の中に響く。その声と共に紅いKMFが現れる。
「わたしにやらせなさい」
「……命令なんだ」
「さっさと退く!」
「はーい……」
この間に上昇し軌道を修正したらしいパーシヴァルの正面に、紅蓮が向かいあった。
「おやおや、何かと思えばこの間の嬢ちゃんか」
確かに前回紅蓮と共に鹵獲したのはこのルキアーノであった。
「リベンジか。いいねえ。だが、俺は一回勝った相手とは戦わない主義なんだ」
「ふうん、そうよね。今度は負けるって分かっているんでしょ?」
からかうような声色に、ルキアーノの瞳が光る。
「なかなかいい返事だ」
「あら、有り難う」
「いい女だが、俺にはただの奪う命だ!」
パーシヴァルがミサイルを発射、だが紅蓮も急上昇させると無数のミサイルを避けて、右腕が飛ばされる。ワイヤーで繋がれたそれは、スラッシュハーケンの様に射出され、しかも軌道が自在に操れるときている。
「何だよ、あれ!」
「うわぁ……」
他のKMFの相手をしながら、ゲンブとスザクは呆れた顔で紅蓮を眺める。こちらの2機と同様エナジーウイングが装備され、完全にロイドとセシルの趣味の機体となっている。あれではラクシャータが「あんたらイジりすぎ」と文句を言うのも分かるというものだ。
カレンは次に輻射波動砲を発射し、とうとうルキアーノに「ヘッドハーケン」を繰り出させた。頭部パーツに仕込まれた、スラッシュハーケン並の威力を持ち、ここぞ、という時の動きであることはジノから聞いていたのだろう。軽々とMVSで受け止めて、ハーケンのワイヤーを掴んで見せた。これに驚いたのがルキアーノ本人だ。絶対に避けられない一撃をあっさり交わされ、しかもその後の動き。こんなKMF,相手に───。
「さあて、どうしよっかな」
まるで歌うかのような口調に、ルキアーノの顔が歪む。本人は隠しているつもりであろうが、完全に恐怖も混じりあっていた。なにしろ、動けない。
「紅月くん、それは私が引き受けよう」
後ろからかかった声に、さらにぴしりと固まる。
「よろしくお願いします、ヴァルトシュタイン卿」
ギャラハッドに引っ張られるように移動していくパーシヴァルに、カレンは紅蓮に乗ったままガッツポーズをとる。
「……いいの? ジノ」
「……あれ、だぞ?」
「待て、待て、今ちょっと考え……」


戦況は僅かではあったが、ルルーシュ優勢だった。何しろ、向こうはシュナイゼルが一人だが、こちらはルルーシュにコーネリア、ビスマルク、ダールトンとギルフォード。星刻、藤堂、ナオトと、司令官が何人もいる状態だ。各自がその都度状況を読み、動く。指示をせずとも一番いい方法で動くのだ、それは当たり前と言ってもいいだろう。
だが、シュナイゼルにはフレイヤがある。
「殿下! フレイヤです!」
「ちっ、ここで撃ってきたか! 出来るだけ回避しろ!」
フレイヤは撃った瞬間に爆発するという代物ではない。原子構造を変化させることにより、膨大な破壊力をもつ兵器へと変化していくのだ。その為、発射から爆発までタイムログが生じる。
───その間にフレイヤを爆破出来れば、多少の威力は抑えられるかもしれない。
だが、ルルーシュはそんなことをしなかった。皆に危険なことはさせたくない。あの爆発に巻き込まれれば、すべて消滅してしまうのだ。

これ以上、何も失いたくない!

「それが君の甘さだよ、ルルーシュ」
シュナイゼルは次弾の装填完了の報告を受けると、ためらいなくスイッチを押した。

「くそ! シュナイゼル!」
ルルーシュがブリッジの指揮官席で拳を握って叫ぶ。このままではダモクレスは次第に高度を上げていくだろう。そうなると完全に手が出せなくなる。
「スザク! ゲンブ! あの守りを突破出来るか!?」
モニターに揃って2人の顔が映し出される。2人とも悔しげな顔をしているが、ゲンブの方がより悔しげにみえるのはゼロがあの中にいるからだろうか。
「出力が桁違いなんです! さっきから何度もやっているんですけど」
「この状態ならフレイヤは撃てないけど、こちらの攻撃も通じないから……」
ダモクレスを包むプレイズ・ルミナス。絶対の制空権を握る格好な鎧だ。
「これではただの傍観と代わりがないということか」
このまま圧倒的な恐怖に黙り込むしかないのだろうか。

「ルルーシュ殿下!」
そこへ、ニーナが肩で息をしながら走り込んでくる。

「出来ました」



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