レギュレータ regulator 91.

アンチフレイヤシステム











「来た!」
スザクがそう短く叫ぶ。こちらに一直線に向かってくるフレイヤ。
ルルーシュの指がコントロールパネルの上を滑るように動く。たった19秒。その間に反応する原子の正確な予測を割り出し、割り出した原子組成を組み上げる。
「必ず成功させてやる!」
必死で指を走らせてきたルルーシュの前のパネルが切り替わった。
『ANTI FLEIJA System FLEIJA ELIMINATOR』
そして続くCOMPLETEの文字。

蜃気楼の後ろには、白いKMFが2機。ラウンズのKMFも見える。そして更に向こうをアヴァロンとイカルガが横切る。
これで全てが終わる。
「見てごらん、ゼロ。平和の完成だよ」
微笑むシュナイゼルに腕を掴まれたまま、ゼロはモニターを凝視し続けている。
───何か、している?
蜃気楼はゼロも扱ったこともあるKMFだ。あれには情報解析システムが搭載されている。ルルーシュがわざわざあれでこちらに向かっているとしたら、シュナイゼルのいう「捨て身」には到底考えられないのだ。それに何と言っても向こうのメンバーを考えれば、ルルーシュにそんな事をさせるはずがない。
あのスザクが、ルルーシュに? 自分以上にルルーシュを守り抜くと宣言していた、あの騎士が許すはずがない。
ゼロはその場の誰よりも、次の状況を把握していたと言ってもいいだろう。

「スザク!!」
「イエス、ユアハイネス!」
ルルーシュが組み上げた組成反応を持った長い槍を、ランスロットが手にして大きく振りかぶった。
実行時間は0・04秒。
「今だ!」
フレイヤが臨界限界に達し光輝くその瞬間に、弾頭に投げ込まれ───その光は色鮮やかに変化して、小さくなって、そして。

「消えた……?」
呟くシュナイゼルが、思わず力を緩めたそのタイミングをゼロが見逃すはずもない。振り払った動きのまま、シュナイゼルに体当たりを食らわせる。驚きのあまり、すぐに反応出来なかったとは、フレイヤ消滅が相当ショックだったのだろうか。そのシュナイゼルの手から、ゼロはフレイヤの発射ボタンを奪い取った。
「ゼロ、返しなさい」
勿論、通常であればここで簡単に捕まってしまっていただろう。だが、シュナイゼル自らが動こうとしたその時に、天空要塞ダモクレスが大きく揺れたのだ。完全鉄壁要塞が侵入を許してしまった、まさにその瞬間であった。


蜃気楼の絶対守護領域が、閉じようとしているプレイズルミナスの邪魔を何とか維持する。その穴を次々とくぐり抜け、内部へと進入していくKMFたち。先頭で飛び込んだゲンブのエクタードマリスが、スーパーヴァリスを構え、フルバースト・モードで無防備となったダモクレスに向かって撃ち放つ。外壁はあっけなく崩れ、その中へと皆が侵入していく。
「ゲンブ! オレ達はシュナイゼルを追うからゼロを頼む!」
「イエス、ユアハイネス!」
ジノとカレンがまずプレイズルミナスの展開を阻止する為に動く。ダモクレスを囲む装置を破壊すれば、覆っていたプレイズルミナスのシールドが消滅する。後は侵入し放題となるのだ。外で待ちかまえていたコーネリアやビスマルクが、次々とダモクレスの中へと入っていった。
ダモクレスは現在雲の上にきている。このまま衛星軌道に到達されては、なすすべもない。
「その前に全てを叩くぞ!」
コーネリアの後をダールトンとギルフォード、グラストンナイツの面々が追い、ビスマルクと共にアーニャが侵入する。
ダモクレスが軌道上に上がってしまい停止が間に合わなかった場合は、アーニャのモルドレッドが動力部に、シュタルクハドロン砲を撃ち込む予定となっている。とんでもない威力のこのハドロン砲で、動力のサクラダイトをぶっ放せば、さすがにダモクレスといえど、墜落は免れる事はできない。


「逃げるのであれば、もう少しうまく逃げた方がいいね」
結局、ゼロは通路へと逃げる瞬間に入室してきたカノンによって、逃げ場を奪われ再度捕まっている。だが、スイッチだけは渡すまいと抱え込む。そんなゼロの姿にシュナイゼルは笑うだけだ。
「いいともゼロ、君にあげよう。これから行うセレモニーにぴったりだ」
シュナイゼルは静かに次の命令を下す。フレイヤの標的をすべてダモクレス内部にする。
「……まて、それは……」
「ダモクレスそのものをフレイヤで消去しよう 立派な棺だ。全員この中に捕獲出来たのだからね」
私たちが脱出した後で、スイッチを押せば完璧だよ、ゼロ。
そう語るシュナイゼルは一体何を考えているのか。
すでに脱出艇が用意されている格納庫へとシュナイゼルとカノンと共に、ゼロも引っ張られていく。複数の兵士たちによって守られていた艇内へエレベーターで上がり、小さいなりにまとまっているブリッジへと足を踏み入れる。

正面のモニターには一人の少年の姿が映っていた。優雅に足を組み、不敵に微笑む黒髪の少年だ。その横に、騎士然とした顔の少年がもう一人。

「ルルーシュ!」
駆け寄ろうとしたゼロの腕をシュナイゼルがしっかりと握っていて、それ以上は動けない。
『……ゼロ、あれほど動くなと、』
さもがっくりと言った様子の弟に、兄は仕方ないではないかと反論してみせる。
「……ルルーシュ、君がそこにいるということは」
『ええ、兄上。フレイヤの爆破はすべて止めさせていただきました』
フレイヤはそのままではそこまで危険な兵器ではない。幾つかの手順を経て、ようやく兵器になりうるものだ。その手順さえ出来ないようにしてしまえば、ほぼ問題はなかった。
「……なるほど」
気づけば、兵達は皆見知らぬ人間ばかり。いつの間にかスタッフが入れ替わり、全員が銃を構えて立っている。
「なぜ私の策が分かったのかな」
『策? 策ではない。兄上の本音でしょう? 父上が教えてくれましたよ、あなたには勝つ気が全くない、と』
「どーせ最後までやり遂げずに逃げるんだろうと思ってた」
出入り口を塞ぐかのように現れたのは白いパイロットスーツの少年だ。
「途中で放り出す指揮官なんて、どこも引き受け先はない。しかも今や世界中があんたの敵だ」
キッとシュナイゼルを睨んだ後で、ゲンブはゼロの顔を見る。
「ゼロ殿下、無理するなって言いましたよね!?」
「煩い! 黙って待ってなどいられるか!」
「あー……はい、まあね、多分じっとしてなくて動いて、結局捕まっているんじゃないかと来てみたらやっぱり……」
煩いともう一度叫びながら、ゼロは自分でも一気に気が緩んでいくのが分かる。
『ゲンブ、そのままシュナイゼルを確保してくれ』
「イエス、ユアハイネス」
シュナイゼルが懐に手を入れるのと、ゲンブの体が沈んだのはほぼ同時。だが、動いたのはゲンブの方が先だ。
「失礼」
がしっと拳が腹に入り、失神したシュナイゼルが倒れこみ、銃が落ちて床を滑っていく。








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