レギュレータ regulator 95.

消滅する恐怖










まずは、世界中を恐怖に陥れたフレイヤのシステムを、もう二度と使用出来ないようにしなければならない。そうしなければ、二番煎じを狙う輩が出ないとも限らない。
「フレイヤに関しては、シュナイゼル傘下のトロモ機関独自の研究により開発されたことにしてあります。ニーナ・アインシュタイン嬢の名前は一切出ません」
ギルフォードの報告に、枢木首相は妻と顔を合わせて、ほっとしたような顔になる。ニーナはブリタニア人ではあるが、息子達の級友でもある。
トロモ機関は、シュナイゼルが自身でフレイヤを使用して消滅させている為、資料は残っていないという話に出来た。
「やはり、一番いいのは、ゼロ殿下とルルーシュ殿下の提案された、高度を上げさせ宇宙へ葬りさるというものでしょう。アンチフレイヤシステムを搭載させてある蜃気楼も同時に行えば、どこにもフレイヤのデータは残存しません」
残っているエネルギーを使用し、太陽へと軌道修正を行う。


スザクは兄の病室に出向き、ダモクレスの処理を行うと話した。
「恐怖の象徴を先にぶっ壊す訳だ」
「順番的にはそれが一番だと思うよ」
小型浮遊艦で、ルルーシュとゼロ、ロイド達がダモクレスに乗り込んで最終処理を行ってから、軌道の修正に入る。一応、スザクもランスロットで同行することになっている。外部を破壊する必要があるかもしれないから、という弟の説明にゲンブは、ん?と首を傾げた。
「……別にそのまま太陽に向かうのなら、外側なんて関係ないだろ?」
「…………ルルーシュが付いてきて欲しいって言うから、そういう名目を……。僕はまだラウンズだから、ルルーシュ個人に付く訳には行かないんだ」
「ああ、そうか。そうだよな……」
傷口を圧迫させないよう、ゲンブは大きな枕を背にあてて、もたれている。スザクはそんなゲンブの傷に関しては、何も触れずにいる。
「シュナイゼル殿下って、どうなったんだ?」
「アヴァロンの一室に監禁状態。コーネリア殿下の親衛隊のメンバーがずっと監視してる。でも、何も変わらないよ」
淡々とした表情と態度のまま、ずっと過ごしているらしい。
「……怪しい」
「そうなんだよね……皆そう思ってるんだけど」
あそこまでシュナイゼルを動かしてしまった、その根底にあったものは本当に「嫉妬」や「権力欲しさ」であったのだろうか。現在本人は何も語らない。
「最後まで謎にしておきたいのかな?」
「そうなんだろうな、プライドかな?」

本当は裁判にかけて、罰せなければならないのだろう。それにより処遇も決まってくるはずだ。このまま処刑すべきか、それともこれからの人生を反省で過ごさせるか。
「……兄上ならば、どちらも選択しないような気がするな」
措置について、皆が議論している時にコーネリアがぽつりと呟いた言葉は、図らずも現実となってしまう。
シュナイゼルはその後、本当に何も語らぬままであったのだ。何も語らず、何も答えず、ずっとそのまま。それがシュナイゼルという人であったのかもしれない。


ダモクレスは軌道を修正され、まっすぐに太陽を目指していく。もう誰も触れることは出来ないだろう。恐怖は、そのまま消滅していくのだ。
ダモクレスがなくなった事で、今回の騒ぎの区切りが一つつき、世界は今度は本当に平和な世界を目指して、集まっていく。
アヴァロンの回廊を歩く後ろ姿に、コーネリアは「ゼロ」と呼びかけると、細い後ろ姿は振り返る。
「姉上」
「やはりゼロであったな」
そっくり同じのゲンブとスザクとは違い、ゼロとルルーシュは瞳の色が違う。ただ、それは正面からの場合で、背格好は同じであるために、後ろ姿での見分けはつきにくい。よく分かったなと言いたげな瞳に、コーネリアは笑ってみせた。
「なにしろ、ルルーシュの隣には必ず騎士がいるからな」
それを聞いてゼロもくすりと笑う。確かに、どこに行くにもスザクが横から離れることがないのだ。
「全く。正規の騎士であるギルフォードも、あれほどはしないぞ?」
「姉上も隣にいて欲しいと頼めば、ギルフォード卿は喜んで一緒に歩くと思いますよ?」
カッと頬を染めたコーネリアに、姉をからかうなと睨まれ、ゼロはくすくすと笑っている。
───こんな会話も以前はなかったものだ。
「それよりもゼロに話があるのだが」
「オレも姉上にお話をしようと思っていました」

コーネリアが自分用に使用している執務室へとゼロを伴って入っていけば、噂のギルフォードが出迎えた。てきぱきとお茶を煎れるその姿を、ゼロは感心してみている。すべてが終わると、すぐに隣室へと下がっていく。
おそらくコーネリアには、これくらいの距離がちょうど良かったのかもしれない───今までは。
戦いもなくなり、ルルーシュ達のあのくっつき状態を間近に見て、もしかしたら姉にも心境の変化ということも考えられるだろうが、ギルフォードが気付かなければ、きっとこのままだ。
(今度、ユフィに話してみよう。そうだ、明日ゲンブの見舞いに行った時に話したら面白がるかもしれないな)
楽しい計画が浮かんで、ゼロは微笑みながらカップを手にする。
「ゼロ、話をしてもいいか?」
「はい」
ゼロはカップをソーサーに戻すと、姉に向かって姿勢を正す。
「父上のことなのだが」
そう切り出した姉に、ゼロはもしかしたら同じ事を考えているのかも知れないと答える。
「姉上、次期皇帝について、ですか?」
コーネリアは大きく頷く。先だってから、シャルルは引退するつもりであると子供達に伝えてきていた。
「ルルーシュに、と私は考えていたのだが」
ゼロは笑みを浮かべて、コーネリアに同意を示す。
「オレもそう思っていたんです」





ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 33

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)