故に、僕は君に夢中 25.

学生証の行く末











自分の気持に整理がついて、ルルーシュはすっきりとした心持だ。家庭教師が延長になった際に、母が「スザクは特別になってきている」と指摘したが、今ではそれもはっきり分かる。確かに自分の中で、スザクという存在は特別なものだ。一人の人間に対し、ここまであれこれ悩むことも初めてだ。
「そうか、そういうことか」
とにかくもやもやは無くなってルルーシュは、ほおと大きく安堵の息を吐く。一番大きく占めているのは、なによりも「もう嘘をつかなくてもよい」ということだ。しかし、最初からバレていたとは思わなかった。
とりあえず、仕舞っておこうと机の上の学生証に手を伸ばしたルルーシュよりも早く、その学生証をそれまで脱力感満載で寝転がっていたスザクの指先がひったくる。

「……おい、スザク」
「返さないよ。僕のだから」
「お前何を言っているんだ。それはオレのだぞ?」
「だからだよ」
今まで撃沈していたスザクは、ここで自分も負けてなるものかと応戦に出る。
「これが無いと、困るんだ」
「オレが困るだろう」
「再発行してしてもらったのならいいじゃない。これが無いと……ああ、そうかルルーシュも困るよ?」
ニヤリと笑みを浮かべたスザクに対し、ルルーシュは頭にクエスチョンマークを浮かべ、首を傾げている。スザクの言っている事がさっぱりわからないのだ。
「……お前の言っている意味が分からない……」
それは自分の学生証である。再発行はしてもらったが、見つかったのなら、見つかったと生徒指導部の方に報告して、シャーリー達にも「探してほしい」と頼んだ手前、あったと報告しておくのが筋じゃないのか、と考える。それなのに、スザクは絶対に返さないと繰り返し、その上、ルルーシュにはまったく分からない呪文を繰り返すのだ。
「返さない。僕の毎晩の友なんだ、これ」
他人の学生証など、一体何の意味があるのか。しかも、なんだ、その毎晩の友というのは。
そうこうしているうちに、スザクはルルーシュの学生証をさっさと胸ポケットへと入れてしまった。
「スザク! 返せって!」
奪おうとしたルルーシュの手はスザクに掴まれ、そのままぐいと引き寄せられた。思い切り近づく顔。
「……ルルーシュ、僕が好きって言った意味、分かったんだよね?」

『恋愛感情の方ね。キスとかセックスとかしたいって方』

再び、ぼん!と真っ赤に染まるルルーシュに、まあ分かってはいるんだろうな、なんとなくは───とスザクも正しくこの状況を把握しておく。問題は「なんとなく」の部分である。
───調子に乗ってはいけない。
スザクが、『対ルルーシュ』で身につけたスキルである。
そして、もう一つ。
「わ、分かってる!」
「そうなんだ。じゃあ今から僕がしたいこと分かるよね? ルルーシュとキスしたい」
ルルーシュに遠回しな言い方は無駄である、という事だ。

単刀直入にキスと言葉にしたスザクに、ルルーシュも(自分に正直に、正直に、スザクに嘘はつけない)とぐるぐると再度頭が回り出す。

分かっている。分かっているぞ。スザクとオレは友達の関係の好きじゃない。

吐息さえも感じてしまうほど、近付く顔と唇。ぎゅっと、力を入れて閉じられた目に、スザクは怖がらせないように触れるだけで止めておこう(止める気はゼロ)と、更に近付いて重ねようとした時。

ちゅ。

紫水晶が開いたかと思ったら、ルルーシュの唇が先に触れた。
「わ、分かっていると言っただろう!」
真っ赤な顔で、それでも得意げな様子のルルーシュに、スザクはもう何も言えずに完敗である。
どうしたものか、このルルーシュ。
しかし、まだ大きな山場が残っている。
「じゃあ、セックスしたいっていうのも分かってるんだよね?」
「セッ!……クス」
「うん、そう。ルルーシュ抱きたい。すごくすごく抱きたい。実はもう我慢の限界なんだ」
じりじりとにじり寄ると、ルルーシュは後ろへ後ろへと後退っていく。
「ス、スザク、オレは男だ」
「そうだね、でも関係ないよ。好きな相手を抱くのには性別は要らない。僕はルルーシュを抱きたい。ずっと我慢してきたんだよ」
とうとう突き当たり。だが、そこはスザクのベッドが置いてある。
何ということだ!
本気で焦っているであろうことは、目の前の姿を見れば分かる。そこで、スザクは胸ポケットから学生証を取り出した。
「この学生証のルルーシュを見ながらね、想像してたんだ。どんな顔になるのか、どんな声で啼くのか。想像で我慢して、目の前のルルーシュを襲わないように歯止めかけてるんだ。だから取り上げないでよ」
ほとんど意味も分からず、こくこくと頷いているのであろうルルーシュの姿があまりに可愛くて、先に進むのはもうちょっと時間がかかりそうだなと覚悟を決めたスザクに、ルルーシュは更に爆弾を落としまくる。

「……スザク、オレはどんな風に啼くんだ?」

ヒューーーーン、ドッカーーーーン。
スザク、白き灰となる。



***
いよいよスパークですね。台風去って良かったです。
行かれる皆様、楽しんできてくださいね。




ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 88

驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた
面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い
ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス ナイス
ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!) ガッツ(がんばれ!)
かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい かわいい