レギュレータ regulator 86.

切り札










父の車椅子をルルーシュが押して入ってきた光景を見て、ユフィは涙で頬を濡らした。
「ルルーシュ……お父様……」
「ユーフェミア」
まだベッドに横になって安静状態のユフィの手を父は握りしめる。こんな父の為に、子供たちはなんと優しいのか。
そのまま沈黙が続く、けれども暖かく静かな空気の中ルルーシュは病室を出て作戦室へと移動する。
「ルルーシュ!」
「スザク」
こちらに向けて走ってきたスザクと共に並んで歩いていく。
「これからが問題だ」
「フレイヤだね。ニーナの開発チームにロイドさんとセシルさんが加わったよ」
「兄上が動く前になんとか次を考えなければ」
しばらく黙って歩いていたが、スザクにルルーシュと名を呼ばれ足を止める。何だ、と聞く前にスザクが下からのぞき込むように唇を重ねた。
「……僕がずっと君を守る」
やっと、隣で、君の横で戦う事が出来る。君を守るために。嘘でも偽りでもない忠誠を掲げ、何よりも大切な君のためにありったけの思いと愛を捧げて守り抜く。
「オレ……の騎士」
ルルーシュの腕があがり、スザクの背に回される。しばらくの間、2つの影が離れることはない。


全世界へとシュナイゼルから発信された「平和」への問いかけ。問いかけというよりも、あれは「脅し」だ。平和を力ずくで世界に強要してどうするのか。
「殿下、通信が始まりました!」
「電波をキャッチしろ。回線ジャック開始だ!」
世界に対し「美しい平和」の答えを求めるシュナイゼルは、相変わらず嫌みなほど自信に満ち溢れ、丁寧な言葉で綴られたそれは、あたかも最上の幸せに聞こえる。
「そんなもの、誰も望んでいない」
ルルーシュはぎりっと拳を握る。強制的な平和の実現など、いったい何だというのだ。
「ルルーシュ殿下、ジャック成功です」
ルルーシュは手にしていた仮面に視線を落とす。
───ゼロ、待っててくれ。
仮面を被ると、オープンチャンネルで繋げるように指示をした。


今まで世界各国の首脳陣たちの焦った顔が並んでいた大型モニター一杯に、黒の仮面姿の男が浮かび上がった。
おやおやとシュナイゼルは微笑む。
「黒の騎士団、リーダーか。君が一番最初に答えをくれるのか」
「ああ、答えをやろう。答えなど最初から決まりきっている。世界はシュナイゼル、お前を拒否する」
その言葉に、シュナイゼルは面白そうに笑うだけだ。
「私を拒否か。まあいい」
穏やかにシュナイゼルは笑みを浮かべる。
「すべての手はこちらにある。大人しく従った方が身のためだと思うが」
「シュナイゼル、お前の平和とは何だ。人を記号化する支配のことか」
その問いに初めてシュナイゼルがそこで黙った。だが、沈黙はほんの僅かであった。
「支配、だがそれを言うのであればブリタニア皇帝が行ってきたことこそが支配ではないのかい? だからこそ、私がその違いを正すのだよ」
リーダーはゆっくりと仮面の手をやる。解除されて仮面は外され、中から現れたその顔にシュナイゼルは一瞬だけ目を見開いた。
「……ルルーシュ……」
「お久しぶりです、兄上」
「なるほど、君が……やはり反逆した皇子という訳か。ゼロも父上を、」
「反逆? あなたがそれを言うのか」
ルルーシュの隣にすい、と並んだのはコーネリアとスザクだ。
「コゥ、君まで……まさかブリタニアに反旗を翻すとは思わなかったよ」
「兄上、お言葉ではありますが、私は皇帝陛下に付き従っております」
コーネリアの意味深なその言葉に、シュナイゼルはうっすらと笑みを浮かべている弟をみる。
「成程、ゼロに父上を殺らせておいて君が皇帝の座を?」
さすがにこの台詞にその場の全員が唖然とする。なにもかも知っているからこそ、その台詞は滑稽でもあった。
だからこそ、ルルーシュは笑い出す。低い笑い声が漏れ出す。
「ふ……ふっふっふっふはははははは」
ルルーシュはなおも笑い続け、一歩下がった。
「オレが皇帝? シュナイゼル、あなたが欲しがったんだ。ゼロも巻き込み、ユフィも巻き込み、そしてこれから世界まで巻き込み、その椅子を父上から横取りしたかったのはあなただ」
ルルーシュは姿勢を正して、正面の座を譲る。
「シャルル・ジ・ブリタニア皇帝はここにいる」

そこにいたのは、ゼロの暗殺未遂事件により、銃で撃たれ意識不明の重体となっているはずのシャルル皇帝がいた。幾らか痩せてはいたが、その迫力と威圧感は健在だ。
「シュナイゼル」
名を一言呼ぶだけでも、重圧を感じる。これが本物。
皇帝の後ろに、ラウンズメンバーが揃った。その中にはナイトオブワン・ヴァルトシュタイン卿も立っている。
こちら側こそがブリタニア。

さすがのシュナイゼルも言葉を無くしている様子に、皆がここで終わりに出来ないかと考えた瞬間、ダモクレスが更に空高く舞い上がる。
「何を、っ」
きっと世界が息を止めただろう、その時。一発のフレイヤが帝都ペンドラゴンを消し去った。

爆発による原子分解レベルは臨界値に到達。大規模破壊兵器はその威力により、半径100キロメートルの空間をすべて消滅させる。

「カードは全部見せてしまった方が負けなんだよ、ルルーシュ」








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