月なき夜にはあくなき夢を 27.

君の罪は僕の罰 第二章 「月なき夜にはあくなき夢を 27.」






一体何の剣だというのか。スザクの頭の中にあるのは、とにかくルルーシュをすぐにでも探しだし、救い出さねばならないということだ。
「C.C.、武器なんていらないよ!」
「ただの剣じゃない。少し落ち着け御神体」
落ち着けと言われて落ち着けるはずなどない。こうしている間にもルルーシュがどうなっていくのか。
「スザク、少しお待ちなさい」
スザクを窘めるよう口を開いた神楽耶は、もう一度カレンに繰り返す。
「枢木神社の神剣をお持ちですね?」
驚いた顔で振り返ったのはスザクの方だ。
「剣て……神楽耶、神剣……?」

神楽耶を封印していた剣。自分を閉じこめたと思いこんでいたそれは、実はV.V.に見つからぬようにという守護の為であった。神剣という最もな理由をつけて、神楽耶の子孫である枢木家に守らせ、年に一度、祭りと称して奉納させた「封印の舞」で結界を作らせていた。長きにわたり守護してきた枢木の家で、唯一剣に触れることが出来たのは、スザクただ一人。

「あの剣はシャルル父さんがV.V.を、」
「ああ、刺し貫いた剣だ。そのまま境内に残しておいたのだが、あれ以後は神社に奉納することもなかったようだな」
あの後一度だけ、スザクはルルーシュを伴って枢木神社に足を運んだことがある。もう知っている人もいないであろう年月を越えて足を踏み入れた神社には、小さな小さな御堂が一つぽつんと建っていただけだった。
「……そうだ、剣が納めてあるようにはみえない御堂だったんだ。あの剣がここにある……」
「シャルルが探しに行ったんだが見つからなかったんだが、お前の剣の師の子孫がいるとシュナイゼルが言い出したんだ。あいつだろう?」
緑の長い髪の少女がカレンを見た───そう少女だ。見た目では年の頃は自分とそう変わらないと思うのに、漂う雰囲気はそれとは全く違う。
一体何を話しているのか。

御神体、枢木神社、神剣、剣の師の子孫……。

「カレン、ごめん。詳しいことは後から説明する。君は枢木神社の剣を持っているんだね?」
「……お、お守りにって持たされて、部屋にある、けど」
「貸してほしいんだ、それ」
強い視線に何も言葉に出来ず、カレンには頷くことだけしか出来なかった。


「カレン! どこに行っていたのよ!」
女子寮に戻ったカレンは、友人たちに取り囲まれる。校舎から離れている為、ここはまだ大丈夫だった。噴煙などが心配されたのだが、いきなり強い風が吹いてきてすべて反対方向に流れていったのだと聞かさた。
「風……?」
「そうよ、いきなりだったけど。あとね下級生のカリーヌさんが玄関のポーチで座り込んでいたの。意識が朦朧としている感じだったから寝かせてあるけど」
「……誰かが連れてきたの?」
さあ?とその場の少女たちは首を傾げる。避難しようと駆け込んできたら、玄関に座っていたのだとカレンに伝えることしか出来ない。考え込むように黙ったカレンだが、次に走ってきた人物に叫ぶ。
「ジノ、あんた女子寮は男子禁制よ!」
「そんなこと言っている場合か!」
ジノの後ろには男子生徒達も揃っている。確かにこの非常時にそんな事は些細なことだ。出来るだけ皆が集まっていた方がいいだろう。
「……爆発の事とか調べてくるから、皆はここで待機してて。たぶん……ううん、ここが一番安全だと思うから」
カレンの視線を受けて、ジノが小さく頷き断言する。
「ここには煙は絶対に来ない」
目の前で見ていたあの二人の力。凄まじい風を起こしていたではないか。ジノの様子から、ここを安全な場にしてくれたのは自然の力ではないことは分かる。
きっと、彼らの仲間がやったことなのだろう。
(ヴァンパイアと言っていたけど……何か……)
───何か違うような気がする。
「下級生達を怖がらせないように皆で談話室に集まった方がいいわ。皆動かないで」
副寮監として指示を出せば、クラスメート達も神妙な顔で頷く。
「向こうの状況が分からないと不安でもあると思うの。だから私が行ってくる。学園側と連絡も付けないと」


心配そうな顔のクラスメート達に見送られてカレンとジノは走り出す。ジノに言われて振り返れば、寮の建物がすっぽりと何かに覆われているかのように見える。
「ルルーシュの兄貴……シュナイゼルがやったんだ。無関係な人間を巻き込む必要はないとね。その代わり、関係者には容赦ないけどさ」
「そう……」
カレンは自室から持ち出した剣を握りしめる。剣とはいっているが、鞘から刀身を抜く際には相当な力がいる為、剣として使用されていない。その為、人目にさらされることも希で、存在もほとんど知られていないものだ。その剣を何故亡き祖父は自分に見せてくれたのだろう。
(おじいちゃん……朱雀おじいちゃん)
剣の師の『子孫』て、何なの?
「これ……」
スザクはカレンが持ってきた剣を懐かしそうに眺めると、柄を握る。何の抵抗もなく、剣はあっさりとその身を晒した。
「ちょっと、待ってよ! それ!」
「もしかして抜けなかった?」
こくこくと頷くカレンに、スザクは黙ったまま剣に視線を戻した。


「……それで?」
マオはルルーシュを目の前にしているのだが、浚ってきたはずの自分の方が追いつめられている気分だ。
マオの様子にルルーシュは笑い、ゆっくりと髪を掻き上げる。
「残念だな、オレが酔うのはただ一つなんだ」
ルルーシュの周囲には薬瓶がいくつか転がっている。その一つをルルーシュが爪先で蹴ると、瓶はころころとマオの足下に転がっていく。止まった瓶からルルーシュは視線を上へとずらしていく。
「それに、お前まさかそれでオレが満足するとでも思っているのか?」
視線の場所に気づいたマオは右手に握ったままのナイフを振りあげた。





ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 21

なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた 驚いた
面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い 面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)