君という存在

ルルーシュ誕生日



R18





 人の気配を感じたC.C.が本から顔をあげると、扉が開いて現れたのはルルーシュだった。よろよろとした足取りでこちらに向かってくると、椅子の上で大きなため息を吐き出す。
「……帰っていたのか」
 C.C.は膝の上の広げた本を閉じると、両耳から小さな固まりを取り出しテーブルに転がした。
「夜明け前に戻った」
 転がされた耳栓が物語るものの心当たりにルルーシュは気まずそうな顔になる。だがC.C.の方もいちいち冷やかすような事はもう言わない。というか、言い飽きた。それよりも家のドアを開く前に耳栓を用意した自分を誉めたい。
「ほら」
 椅子でぐったりしているルルーシュの前に、C.C.はグラスに注いだ水を置いた。だまってこれくらいの事をしてやるくらいの気持ちも持てるようになる。こいつらとの付き合いはそれぐらい長いのだ。
「お前の方が先に起きてくるなんて珍しいな」
 そう、これは珍しい。たいていは体力馬鹿のスザクのほうが元気いっぱい、すっきりした顔で先に起きてくる。
「何だ、また例の奴か」
 C.C.の問いかけに、ルルーシュは腕に埋めた顔を動かすことで返事を返す。


 昨夜は半分に割れた月が窓から見えていた。

 さっきからひっきりなしに続いているのは、ルルーシュの細い喘ぎ声とスザクの荒い息、そしてベッドが二人分の動きにあわせて出す軋む音だ。
「……ルルーシュ、ルルーシュ」
 譫言のようにスザクはずっとルルーシュの名前を呼んでいる。確かに愛しい人の名を呼んではいるのだが、スザクのそれはどこか違う。
 ――まるでそれは確認するかのような……。
 すっかり力の抜け落ちた腕をスザクの背に回したルルーシュをスザクは苦しいほど抱きしめて、最奥まで何度も突き挿れる。
「んっ、ん……ス、ザク、スザク、あっ、あああっ」 
 ルルーシュもスザクの名を呼ぶが、それが相手にも聞こえているのかは定かではない。

 時折こんな夜がスザクに訪れる。

 スザクはずっと激しくルルーシュを抱き続ける。酷く暗い顔でただひたすらにルルーシュを揺さぶり続けるのだ。翌日、衰弱したルルーシュを見て、ひたすら落ち込んでいるスザクに「多少乱暴にされるのは構わないが、痛いのは嫌だ」と伝えたところそれだけは頭に残っているのか、痛みを伴うことはされない。
「ああ……ああぁっ、ふ、あぁあ……んっ!」
「ルルーシュ、ルルーシュ」
 痛みはないが、そのかわり容赦ない動きでルルーシュの弱い場所をぐりぐりと刺激しつづけるので、それはそれでルルーシュとしてもたまったものではないのだが、ルルーシュは決して否定の言葉を口にしない。スザクがルルーシュをこんな風に抱くとき、それはスザクが不安に駆られる時である――と何度も経験しルルーシュは知った。知ったというよりもC.C.に指摘されて気付いた、といったところだ。

「それでスザクはどうしてるんだ」
「……一人くるまって反省中だ」
 くすっとC.C.は笑い、白い器に盛られた赤いベリーを摘むと口の中へ放り込んだ。
「反省しているということは、一応落ち着いたんだな。私やお前と違ってスザクには不確定要素が山積みになっている。特殊例でしかないからな。ギアスコードを持っていない奴がここまで一緒にいられるなんて私も知らない」
 ルルーシュのかけたギアスは「生きろ!」だけだった。スザクはそれを逆手に取って『ルルーシュと共に生きる』為にルルーシュのギアスをずっと発動させ続けているのだ。自身にかけられたギアスを自由に発動させること自体、特殊すぎてC.C.もこの男の執着ぶりに呆れかえっているが、今は笑って見ている。
 とはいえ、不老不死の条件であるコードをスザクは持っていない。
「不安になるのは仕方ない。スザク自身の存在の確認が出来るのがお前だけなんだ。愛だな。甘んじて受け取ってやれルルーシュ」
「……魔女が愛とは笑わせる」
 軽く交わしたものの、言葉の意味に照れているのは丸わかりだ。ついと立ち上がってまたもとの寝室に向かっているのだから。
「わかりやすい奴らめ」
 C.C.も立ち上がると、冷蔵庫の扉を開いた。白い箱の中には3人分のプリンが入っている。
「誕生日用に買ってきたが、食べるのは明日になりそうだ」 





ルルーシュ誕生日おめでとう
今年は遅くなってごめんね。


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