騎士は白馬に乗っているとは限らない 236

こんな風景はあの頃では夢のまた夢。









アリエスの美しい庭の木陰に用意されたのはビュッフェスタイルのランチ。殿下のご友人達、ということでアリエス離宮のコック達が張り切って用意したそれは見た目も可愛らしく、そして食べやすく工夫されたものだ。しかもサンドウィッチやパスタなど、一般家庭からかけ離れていないものが用意されている。
フルーツポンチやケーキも用意されており子供達は歓声をあげてテーブルに駆け寄った。

皆で走り回ったあとはお腹がぺこぺこ。

嬉しそうに頬張る子供達を見て、こちらまで笑顔になる。
でへ、と笑ったルキアーノをピロリロリーンとアーニャが激写。
「・・・不気味」
「おい・・・」


並べられたメニューにスザクが思い出すのは一番最初にルルに招待してもらったお茶会の事。皇族のお茶会だからとミレイ達にオーダーメイドの店に連れていかれて服装を整え、がっちがちに緊張して訪れたアリエスでは、今日のようにケーキが並び皇妃自らお茶を煎れてくれる堅苦しさの全く無いアットホームなものだった。

今でこそ、こういう事をしてもアリエスでは異を唱える者など一人もいないがあの当時はどれほど大変だっただろう。庭で大はしゃぎをして駆け回った午後が遠い昔に感じる。あの日までルルは自分の家の庭なのに外で遊んだことが無かった。
「また遊びに来てもいいですか?」と聞いたスザクにマリアンヌは即答で「もちろん!」と答えたがあれは相当覚悟のいる返事だったのではないだろうか。
ルルと庭で遊んだ、また遊ぶ約束をしたと答えた時、驚いていたコーネリアやクロヴィス。それまでのルルの行動を考えれば驚くに決まっている。
スザクの騎士任命だって賛成の人ばかりではなかった。あからさまに反対する人間だっていた。

幼稚園に通うなんてあの頃の誰が想像出来ただろう。しかもルルが自分から行きたいと願い出てきたのだ。
小さいのに自分がどう望まれているのか、どうすれば母や妹が無事でいられるのか考えて行動していたルル。
大人にとって都合のいい皇子を演じなくてはならなかったルル。

そのルルが同じ年の友達に囲まれて笑っている。楽しそうに声をあげて走って笑っている。

「同じ年の子と遊ぶなんて・・・ルルには無理かと思ってました」
「私もよ?こんな姿を見られるなんて思いもしなかったわ・・・あなたが騎士になるまでは、ね?」
この突然現れた異国の少年がここまで変えた。
「僕はルルに笑って欲しかっただけです」
「あら、それが一番大事な事なんじゃないかしら?」

大好きな人が幸せに笑っていてほしい。そんな毎日を作りたい。

「きっとね、最初はそんな小さな事なのよ」
「はい」

そんな会話を交わしているスザクとマリアンヌの後ろから突然号泣の嵐。
「うぉおおおおぉおぉおおおおお」
何事かと思えば元すっとこどっこいさん達がむせび泣いている。
「おおおお、俺達はそれを忘れていましたぁあああ」

そう。最初は小さな事。大好きな誰かが笑ってくれた喜び。

「大丈夫よ。それを忘れずにお国に帰りなさいな。きっとあなた方は今度は間違えずに出来ると思うわ」
「皇妃さまぁあああああ」


むさ苦しい男共の向こうからジノがおーいと呼んでいる。
「スザク!!お前、なんとかしろよっ」
「何を?」

「ねえねえ、ラウンズもあのキックできるの?」
「やってえ、やってええ」
「アレは枢木だけなんだ!」
ルキアーノが説明すれば、隣でなあんだと呟くタマキ。
「ラウンズもたいしたこと、ないなっ!」
ぷち、とルキアーノのスイッチが入る。

「やってやろうじゃねえかっ」

くるくるキック挑戦中のルキアーノとやんややんやと大騒ぎな園児達。
でも出来ませんよね?

「ルキアーノもできるのっ!?」
「しゅごーいっ」
小さな皇子様と皇女様からの声援を受け、引くに引けない状態の吸血鬼。

「頑張って、ルキアーノ」
「おお、そこだ、飛べっ」
「ルキアーノさん、踏み込みが甘いから」
「あら、まあ大変ですわね」
すっかり傍観者のアーニャ、ジノ、スザクにユフィ殿下。

「お前ら~~~~」
「「「「だって面白いんだもん」」」」

平和な午後はまだまだこれから。

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