ぼくのこころに、きみがくる 4.

きみがいてこその明日








女の子は凄いな、と思う。
「……というよりも若さのパワーか?」
「ジノ、自分で言ってて虚しくならない?」
煩い!と叫べばスザクは「ははは」と笑うとカルテを手に整理を始める。
ホント、こいつときたら!
そのうちに階段から軽い足音が聞こえるなと思えばナナリーが顔を出した。
「ジノ先生、お兄ちゃんが今日は夕食どうするって」
一瞬黙ったジノにナナリーはにこっと笑った。
「カレンちゃんいないけど」

あんなに真っ直ぐにこちらを見てくる目から逃れるのは容易な事ではない。視線と一緒に気持ちまで投げてくる。何とかやりすごしてしまおう、なんてズルいこちらの思惑を綺麗にはねのける。
『責任取れなんて言わないから』
そりゃないだろ。それを大義名分にしてすり抜けようとしてるんだぞ、こっちは。

「気にはなるんだよね、カレンちゃんの事」
有り難うとスザクはルルーシュからおかわりの茶碗を受け取る。受け取るスザクも嬉しそうだが、差し出すルルーシュはもっと嬉しそうである。
「ジノのタイプ」
「えっ! そうなの? ジノ先生」
ジノはきゃあと小さく叫んで喜びでにこにこしているナナリーを見て、発言の主アーニャを軽く睨んでから煮物に箸を伸ばして人参を口に放り込んだ。久しぶりにここで食事をしているなあと思う。相変わらず仕事のタイミングを見計らって用意されているらしく、3人が来たときにはテーブルは全て整っていた。
「俺としてはナナリーもタイプだけど」
「むう。そういうのは駄目です」
ナナリーの返事にスザクとルルーシュが同時に吹き出した。言い逃れをしようとしてもどうも無理らしい。

確かに普通に出会っていたら───。
そういうことを考える時点でもう気にしてるということなんだろう。
そろそろ答えは出さなくては駄目なんだろうな。


神妙な顔で帰ったジノを見送ったあと、ルルーシュは食器を片づけて濡れた手をタオルで拭きながらリビングの方を見る。ナナリーが広げているノートをスザクがのぞき込んでいるのが見えた。
「ナナリー、これはこっちに当てはめて」
「でも先生これだと答えが……あ、本当だ」
「……疑ったね?」
ぺろっと舌を出してごめんなさーいと笑うナナリーにスザクはがっくりといった顔をする。
「いくらなんでも中学くらいまでは分かるよ……なに、その驚いたような顔は、ルルーシュ?」
「え? いや、別にそんな驚いては……」
「酷いなあ二人とも」
「スザク先生はお医者さまでした!」
「ナナリー……僕ってどう思われていたんだろう」
ルルーシュが勉強に関してスザクに聞くことをせずに済んでいたということもあるのだが、そういえばあんまりそういったことを気にしたこともなかったと思う。医師免許まで持って、しかもダールトン教授の優秀な教え子だったと聞いている。優秀だったゆえにあんな事にまで巻き込まれたのだ。
「先生はどうして内科医になったんだ? ここを継ぐ予定だったから?」
「後継に関してはあんまり言われなかったけど、やっぱり目の前で見ていたのが内科だったからね。僕の中で医者っていうのはこれだったんだ」
実際、自分の父親は医者ではなかった訳だから、祖父に引き取られなければ全て変わっていたのかもしれない。医者になると告げた時の祖父の嬉しそうだった顔。医者たるもの、なんて事は一切スザクに言わなかったがスザクはあの大きな背中から全て学んでいた。現在のくるるぎクリニックの基本は枢木医院だ。患者と向き合う姿勢も全てを祖父から継いでいる。継いだのは建物だけではないのだ。
「こうして現在を見ると……僕の選択は間違っていなかったんだと思うよ」
「お兄ちゃんに会えたもんね、先生?」
「うん、ホントだよね」
「な、何を言ってるんだ、二人とも!」
こちらを見て笑うスザクにルルーシュは恥ずかしそうに俯いた。あの時熱を出さなければ、あの時この医院を選ばなかったら、今自分達はどうなっていたのだろうか。自分の未来もここがあったからこそ。

「先生、オレ薬剤師になろうと思うんだ」





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オンリー原稿を今頃になって方向転換。全て書き直し(←バカ)

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