ぼくのこころに、きみがくる 1.

「ぼくのこころに、きみがくる」  くるるぎクリニックシリーズ第二部











「それで?」
診察室で頭を抱え込むジノをスザクが腕を組んだまま眺めている。
「それで、ってお前……」
カレンがジノに『告白してもいいか』と聞いたという話は何せ玉城の店という場所が場所だっただけにあっという間に知れ渡った。しかしながら「いいか」と聞かれてもジノもそこで「はい、どうぞ」とは言えない。
「ガキの時から知ってるんだぞ? こーんな小さい時から知ってて、それが恋愛に……あ、お前はそーだった……」
目の前でふうんと笑っているスザクは保護者として引き取ったルルーシュと恋人同士になっている。保護者だの里親だのということで相当ブレーキをかけてきたようだが、今は「未成年後見人」ということになっている。親権は父親にあるが、その父親から代理権を与えられて法律行為を行う者───だから先生は保護者ではない!とルルーシュは主張している。
「カレンちゃんはいい子だよ」
「んなもん、俺だって知ってる。美人に育ってるし、しっかりしているし」
「ジノの好みのタイプだよね」
「言うなっ!」
はっきり言ってその通り。美人だし勝ち気でドンピシャなのだが、それに気付いたのがまさに「告白していい?」と聞かれた時だったのだ。正面からこちらを見据えたカレンがジノの中で8歳から17歳へといきなり成長して現れたようなそんな錯覚を生み出した。こちらに戻ってきた時にもそんなことは全く思わなかったというのに。
いきなり“女”だ。まいった。
頭を抱えているジノを一瞥してからスザクは診察室の扉を開けて待合室を見る。診療時間開始までにはまだ時間があるが、もう患者達の数は多い。マスク姿も多数ということは風邪の患者も多そうだ。ただアーニャが何も言わないところを見ると発熱している患者はいないのだろう。
「おはようございます、じゃあ始めますね」
「センセ、おはよ」
「あらーいいのよぉ、時間じゃないもの」
そんな会話をしてからスザクは一度扉を閉めた。
「ジノ、とりあえず診察始めるよ」
「……あー、なんか言われるよな、絶対……」

くるるぎクリニックのあるこの街の商店街は何かあると皆が一致団結する。良いことなのだろうが中には「おい」と思うようなこともある。「ルルーシュくんを応援する会」がそのいい例だ。そんな街の人たちが今度はカレンを応援することはおおいに有りうる話だ。そしてそれは単なる憶測ではないことを現在ジノはその身で実感している。スザクはクリニックでの内科医として患者を診ている。患者の多くは風邪などの症状をもった人達であるから、診察中におしゃべりをするということは例外はあるにしてもあまり無いと言えよう。だがジノはリハビリ担当。足が痛いだの、腰が痛いだのというおばちゃん達が大多数を占める。そしてジノに低周波などをかけてもらっている間は全く障害のない口が元気に動くのである。という訳で全員で攻撃(?)中。特にカレンに関しては兄嫁が大人気ケーキ店「ボーヌール・オランジェ」に勤務し、自らの勤める店の店長だけではなく商店街をも牛耳るというC.C.である。みーんなが面白がる……のではなく応援したがるのもごもっともな話。
「カレンちゃんはいい子よぉ」
「はい、知ってます」
「いい、ジノ先生。尻にしかれているくらいがいいのよ」
「はあ……」
「ジノ先生もようやく落ち着けるわねぇ。ホント良かったわあ」
「いや、まだ決まった訳では」
「「「何言ってるのよっ!!」」」
「……すみません……」
カーテン越しの会話を聞いてスザクがこらえきれないように笑い出し、ジノが「スザク! お前後で覚えとけよ」と叫んでまた診察室中に笑いが広がる。アーニャも咲世子もにまにまと笑いっぱなしだ。

その笑いを階下に聞きながら、くるるぎクリニックの住居のリビングではルルーシュとナナリー、そしてカレンがいる。一応勉強の名目である。それは以前もこうして3人で図書館で勉強をしていたことがあるのでおかしくはない。だがあの時の空気とは違う空気が流れていた。こんなに変わるものなのか、とルルーシュとナナリーはカレンを眺めている。とにかくくるくると表情が変わっていくのだ。ジノ先生の叫び声がここまで聞こえた時のカレンの顔といったら、あまりに可愛くて思わずナナリーも頬を染めてしまったほど。
「な、なによ。ルルーシュ、ほら勉強するわよっ何してるのよっ」
「……いや、それはオレがお前に言いたい台詞なんだが」
カレンの手元には空欄だらけのワークが広げられている。こらえきれなくなったナナリーが教科書をどかすと、カレンの方へ身を乗り出した。
「ねえねえカレンちゃんていつからジノ先生が好きなの?」
これは当分勉強にはならないな、と判断したルルーシュも諦めてペンを置いた。頬杖をついて幼馴染の顔を眺める。
「そうだな、オレも聞きたい。オレのことは散々言ってくれていたし」
「……うっ」
恥ずかしいのだが聞いて欲しいのもある。そこが女の子。
「笑わない?」
「「笑いません」」
仲良し兄妹、同時に約束をする。耳まで真っ赤にさせたカレンが決心したように顔を上げる。返ってきた言葉に笑うどころか兄妹仲良く今度は叫ぶ羽目になった。

「小学校の時から」
「「えええっ!?」」




************
想い期間(自覚有り)はルルーシュより長い。

第二部になります。よろしくお願いします。
オンリー脱稿まで更新乱れます。ご了承ください。今度も目指せ!「早期脱稿!」






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