ぼくのこころに きみがくる 18.

ご機嫌な2人







いつもであれば仕事モードに切り替えるのが大変な上に患者も多い休み明け。愚痴の一つ二つ口に出るのが通常モードのジノだ。そのジノがふふふん、と鼻歌交じりで朝の準備をしている。その後ろ姿をスザクとアーニャが黙って眺めていた。
「おい、スザク。もう患者さん達待ってるぞ?」
いやそれいつもなんだけどね、と思っていると張り切ったジノが待合室のドアを開いて「診察始めます」と声を掛けていた。
「もう、いいだろ?」
「え、ああうん。いいけど」
時計を見るといつもよりも随分早い。患者の方が恐縮しながら入ってきたほどだ。
「スザク先生、いいのかしら?」
スザクも笑いながら、聴診器を用意してどうぞと椅子を進める。その奥では、違う患者に治療器具を用意しているであろうジノの楽しそうな声が、カーテン越しに聞こえてくる。
「何かいいことあったみたいですね。朝からあの調子なんです」
「何があったんでしょうね」
「聞き出しておきますよ」
「まあよろしくお願いします」
スザクは笑いながら診察を始めた。


放課後、進路指導室に呼び出されたカレンがなかなか戻って来ない。
シャーリーが心配そうにしているのだが、覗きに行く訳にも行かず、教室でうろうろうろうろ歩き回っている。
「ねえ、どうしたのかなあ。ルルは知らないの?」
「知らない。カレンは推薦を受けるって言っていなかったか?」
ルルーシュほどではないが、カレンもそれなりの成績を取っている。指定校推薦での受験を希望して基準はばっちりクリアしていたはずだ。今になって駄目になったということはないだろう。リヴァルも「一体何だろうな」と呟いているところへカレンが戻ってきた。

「あれ? 皆もう帰ったかと思ったのに」

待っていたこっちががっくりするセリフである。それにカレンのへへっとした笑いを見ると当然追求したくなるのが人の性。
「何があったんだ?」
「そーだよ! 待ってたのに」
「なんかカレン朝からおかしいよな」
友人3人に取り囲まれてカレンは弛む口元をノートで隠しながら告白した。
「ええと……進学するの辞めたの」
3人が驚きでぽかんと口を開ける。この時期になって進路変更?しかも進学辞めるって……。
「カレン就職するの?」
「うーんそんなとこなのかなあ?」
にそにそと笑い、はぐらかすカレンにさらに3人が詰め寄る。
「カレン、正直に全部話せ」
「……他には内緒にしてくれる?」
こくこくと頷く3人にカレンはこう告げた。
「ジノ先生のお嫁さんになることが決まったから」


その頃、診察終了したくるるぎクリニックの診察室でも同様な問答が繰り広げられ、白状したジノをスザク、アーニャ、咲世子の3人が驚きの顔で取り囲んでいた。
「……そういうことなので、宜しくお願い……しますってスザク! お前何笑ってるんだよ!」
「いや、あちらへの挨拶大変だろうな、と思ってさ」
「昨日行ってきた……」
スーツを着ていったジノに対しカレンの母は「あら普通の格好でいいんですよ」と笑い、ナオトには「ジノセンセ、本当にカレンでいいのか!?」と聞き返され、そして義姉になるであろうC.C.には

「絶対に結婚式まで手を出すな」

と念書まで書かされたのである。
「そうだよね、手は出さない方がいいと思うよ」
「本当にそれはお前にだけは言われたくない!」
掠れた声のルルーシュに遭遇する日はあまり無い、などとは口が裂けても言えない状況なのだ。しかもルルーシュが幸せそうに笑っているので、これまた強く言えない。
「……お前もさあ、ほどほどにしておけよ」
「覚えていたらね」





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