ずっと君をさがしてた 51.

大切だから。









待ち合わせの場所を決めようとしたスザクだったが、すぐに考えを改めた。

待ち合わせ場所にルルーシュが立っている。皆が注目しているその人のところへ向かっていくのはものすごーく嬉しい。そして、その反対。待ち合わせ場所に立っている自分に向かってルルーシュが綺麗な笑みを浮かべて走ってきてくれる。これもすっごく嬉しい。

「問題は僕と会うまでの間、先輩がどうやっても一人になることなんだよっ! 待ち合わせなんだから仕方ないんだけどっ! あーーーーっその間に先輩が先輩が先輩がっ!!」
「だったら迎えに行けばいいだろうがっ!!」
ジノの一言に「あ、そっか」と納得の笑みを浮かべるスザク。家まで迎えに行ってしまえば大事な先輩が一人になることもない。
「すっきりしたとこで、練習しようっと」
竹刀を握って中段の構えを取る。一番基礎の構えだが、スザクと皆とは何か違うような気がする───というのが部活顧問の藤堂の言葉だ。
「スザクくんは……何か覚悟を持って剣を握っているような気がする」
「あのバカがですか?」
部長のカレンが何を言っているんですか、と呆れた顔をしている。練習をし始めたはずのスザクは「迎えに行ったら待ち合わせにならないじゃんっ!」と叫び、ジノも「んなもん、知るか!」と叫び返している。
「そこ、一年! 煩いっ、グラウンド10周!」
「えええええぇぇぇ」
左手に握った竹刀をカレンはびしっとスザクの鼻先に突きつける。
「文句ある?」
「……いえ、ありません。ほら、ジノも行くよ!」
「なーんで俺もなんだよっ!」
文句を言いつつ武道場からグラウンドに向かい、道着のまま走っていく2人を「あれのどこが?」とカレンは眺める。同じく走っていたサッカー部に混じり、どうやら競争を始めたようだ。
「真面目に走りなさいっ!」
まったくもお、と言いながら藤堂を見ればまだ難しそうな顔をしている。
「先生? いつもあの調子ですけど」
「ああそうなんだが、いや時々鋭い目をしないか? その時に何か違う空気を纏うような気がするんだが……私の気のせいか?」
「だと思います。あの馬鹿は確かに強いですけどっ、スザク! 真面目に走れって言ってるでしょう! ルルーシュに言いつけるわよ!」
すみませーんと慌てた声が聞こえる。今度はふざけて陸上部のメンバーと走っていたスザク。あの袴姿で陸上部と走るのだから相当な運動神経の持ち主ではあると思うが、ルルーシュの名前を出せばこんなものである。カレンからはどう見ても覚悟なんて持っているようには思えない。だから隣で藤堂が細い目でスザクを見ていることには気付かなかった。

「……何をやっているんだか」
担任に頼まれて配布するプリントを揃えていたルルーシュは、ふざけながらグラウンドを走っているスザクを教室の窓から見つけた。特に急ぐプリントでもないし、本来のルルーシュだったら居残りで作成するなんてことは絶対にないだろう。だが、部活のスザクを待つ理由はあればあるほどいい。仕事を頼まれたから居残りだ、教室にいると伝えた時に見せたスザクは本当に嬉しそうだった。部活がある日は生徒会に参加することも、一緒に帰ることも出来ない。まるで、しゅんとうなだれた尻尾がぐいんぐいんと大きく振られたように感じ、思わず本当に尻尾があるんじゃないかと確認してしまったほどスザクは喜びやうれしさを表に出す。
「オレも……もうちょっと顔に出した方がいいのか?」
「ほお? なんだ、ここの坊やはなかなか素直じゃないか」
突然の声にルルーシュが振り返れば、一人の女生徒が立っていた。アッシュフォードの制服を着ているのだが、見たことがない顔だ。その女生徒は長い緑の髪を後ろに撫でつけると、すたすたと近づきルルーシュの隣で外を覗く。が、途端に顔をしかめた。
「ったく、何だ枢木か。本当にお前達ときたら私の話をまるで無視して、あげくに枢木はびーびー泣きついてくるし……」
「なんの……話だ」
不機嫌そうな顔を隠しもせずに自分を見ているルルーシュにC.C.は笑った。
「成程、多少は成長しているようだな。それで今度は枢木に必要だと告げたのか? ルルーシュ」

『何故ギアスを使わないんだ。枢木スザクに使えばいいじゃないか。皇女の騎士を辞めろ、自分の味方になれ、そばにいろと』
『駄目だ。使わない』
『何故だ。一番リスクは少ないし確実だ』
『スザクはっ、』
『枢木が自分から、自らの意志でお前を選ばなければ……ならないのか? 大層なプライドだな、ルルーシュ。ではお前が自分から言ってみればいいじゃないか。それこそ一言で済むぞ?』

「必要だとあいつに言ったのか? ああ、違うな。あいつに……枢木スザクが好きだと伝えたか?」
不快そうな顔を見せていたルルーシュが見る見る真っ赤に染まっていく様子をC.C.はこれは面白いものを見たと心の中で呟きながら眺める。
「ナナリーが言っていた通りだな」
「ナナリー!? ナナリーがどうしたんだ! お前はいったい誰だ!」
C.C.はもう一度笑顔を見せた。
「魔女だと答えておこう。私は満足だよルルーシュ。少なくともお前達は笑っているようだ。それでいい」






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