「Serenade─夜曲」 22.

計画。









ルルーシュは格納庫に走り込む。
蜃気楼は飛翔滑走翼ユニットと一体化したコクピットを持つため、パイロットへの負担は他のKMFに比べると格段に少ない。それゆえ、ルルーシュはパイロットスーツを着ることなく乗り込むことが可能だった。
「それが仇となるとはね……」
シュナイゼルは空間だけが広がった格納庫に苦笑を浮かべた。止める間もなく、ルルーシュは行ってしまったのだ。
いつも冷静で綿密な計画を立てて動くあのルルーシュが、だ。藤堂も四聖剣の4人もしばし呆気に取られていたが、即座に追いかけていったのは流石だろう。
「少し妬けるね」
「少し、ですか?」
カノンの問いかけにシュナイゼルは少しだよ、と繰り返し、すぐにロイド達へ連絡をするために動き出した。

蜃気楼を飛行可能なフォートレスモードに変形させたルルーシュは、目にも止まらぬ程の早さでキーボードディスプレイをその細い指で叩いている。先ほどから送られてきているデータはセシルから回されてきたものに間違いない。
───この先にスザクがいる。
通常よりも数倍早いであろうデータ処理を終えると、ルルーシュは持ち込んだ刀を手にした。
『スザクの持っている刀と対になります。近づけば共鳴を起こすでしょう』
ずしりと重たい。こんな重い物をスザクはいつも振り回していたというのか。いつだって風のように鮮やかにその刃は煌めいていた。
……オレを守る為に。
どうでもいいと過ごしていた毎日から助け出してくれたのもスザクだ。母と妹を亡くしてからは投げやりな日々。自分にすら執着が持てなかったあの世界から、スザクは色彩の中に戻してくれた。
手を差し伸べてくれた。
今度はオレがスザクを守る番だ。
「……早く」
もっと早く飛べ。ただ一人の元へと動かすこの気持ちを何と言い表せばいいのか。

向かう先は広い海の真ん中。
だが、そこは現在混乱の真っ最中であった。

「スザクくん!」
セシルの声はスザクには届いていない。
大事なランスロットに何か変なモノが取り付けられていないかと確認を行っていたはずのロイドが失神しているのを倉庫の隅で見つけ、おかしいと感じたときには遅かった。
「スザクくん、聞こえていないの!?」
ランスロットに仕掛けられていた罠。それはスザクの意志を奪い去る物だったのだ。
「そう易々と逃がすわけがなかろう! 儂が気付いておらぬとでも思ったか」
現れたシャルル皇帝に皆が驚く。では負傷した皇帝は一体誰であったのか。深い怪しい笑みを浮かべるシャルルの姿は、影武者の存在を改めて思い知らされた。
「この者がルルーシュの騎士となるのを今か今かと待ちわびておったわ!」
執拗にルルーシュを狙っていたのは、隠されていた枢木スザクを表に出させる為。ルルーシュの命の危機を周りが理解しないことには騎士の任命はありえない。危険な目にあわせながらも殺さない。その執拗な追跡にマリアンヌはルルーシュの身を守るために枢木スザクを表に出した。計画であるとは誰も思わない。ただ、ルルーシュの───王の命が危険に晒されている、それを守るが為に隠されていた騎士が出てきた。

それこそが待ち望んでいた瞬間!

「儂こそが王! 器は我が手に!」

「スザクくん!」
セシルが操縦するサザーランド・エアにむけてランスロットのソードが空を切る。セシルだと分からないはずがない。白いカラーリングが施されたサザーランドは特派専用なのだから。だが、スザクの動きは確実に敵を狙うそれであった。

皇帝シャルルを守る為に。


スザク自身に関する主体としての意識は、喪失寸前であった。






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