プレゼント 後篇

ずっと君をさがしてた 番外 社会人編 









「乾杯っ!」

チン、とグラスを合わせる音がした。ホテルの最上階レストランの一角がクリスマスの雰囲気の中で、一際華やかだ。
カレンが披露した『待ち合わせのカフェでの乱闘騒ぎの話』に、ミレイ、リヴァルにシャーリーも吹き出さずにはいられない。アーニャは「相変わらずジノは馬鹿」と携帯を向けてはピロリロリーンと、ブログのネタ作りに忙しそうである。
「ホント、ジノはいろいろやらかしてくれるよね」
スザクは膨れっ面のまま、グラスのシャンパンをくいと飲み干す。
「おいスザク、最初から飛ばすな」
「だって、ルルーシュ! 僕の計画がこの馬鹿ジノに粉砕されたのに!!」
「悪かったよ。だってさ、ルルーシュ先輩の誕生日にプロポーズするって意気込んでたから、もう終わったと思ってたんだよ」
誕生日、とルルーシュは聞いて「あの日は悪かったな」と謝る。
「ルルーシュが謝ることじゃないよ。ナナリーがインフルエンザになったのは誰も悪くないし、あれだけ熱が高くちゃね」

例によって例の如く、ラブラブ夫婦が揃って出張に出掛けた日、スザクとの約束で出掛けようとしていたルルーシュが見たのはナナリーの真っ赤な顔。きっと具合が悪かっただろうに、出掛ける兄に心配をかけさせまいと我慢していたのだろう。迎えに現れたスザクの車に乗せて病院へと運べば、インフルエンザと診断された。熱がひどく高く、放っておくことなど出来ないナナリーの為に、デートは中止になり、スザクもそのまま看病の手伝いをして誕生日は終わってしまったのだった。ナナリーは随分恐縮してすまなそうにしていたけれど、スザクにとってもナナリーは可愛い大事な存在だから、当たり前の行動だ。

「なんだかおかしな事になっちゃったけど……ルルーシュ、僕と結婚して」
「な、っ、だか、らっ!」
「もう限界なんだ。ずっと一緒がいい。大学の時も相当我慢してたけど仕事してたらもっと会えないし。一緒になろうよルルーシュ。ああ、シャルルおじさんとマリアンヌさんにはもう了解とってあるからね。ナナリーも自分が婿養子をとるから大丈夫って言ってくれてたよ。お兄様をよろしくって」
「ちょっと待てーーーーっ!!」
「父さんもルルーシュなら大丈夫だって。時々ご飯でも持っていけばいいよ。いなり寿司と筑前煮はもうルルーシュ以外のは食べられないって言ってたから」
スザクはがしっとルルーシュの手を握る。
「……イエス以外は聞きたくない」
「スザ、クっ」
そのまま唇を近づけようとしたところで、ウェイターから奪い取ったトレイでカレンがスザクの頭をひっぱたいた。
「いい加減にしろっ!」


アッシュフォード学園生徒会のメンバーはなんだかんだと仲が良く、卒業してからもこうして集まることが多い。気の置けない仲間との語らいは、本当に楽しい。今日はミレイの「クリスマスなんだから、当然でしょ?」という分かるような分からないような、そんな理由で皆が集まった。
───僕たちは皆、楽しい未来をこうして手に入れている。そこにはルルーシュもいて、シャーリーもいて……。
「……スザク? どうした?」
ガラスに最愛の人の姿が映り、スザクは振り返る。何を考えていたのかはもう忘れた。
「んー。ちょっと酔ったかなあ?」
「ペース配分がおかしいんだ。あんなピッチで飲むから……」
つらつらと説教を始めたルルーシュを片手で抱き寄せて、唇を重ねた。少し坑がった風だったルルーシュも、何度も触れ合ううちに体をこちらに預けてくる。
「……こういうムードの中でしたかったのにな」
「プロポーズか?」
「そう!」
そう言えば最終的な返事はもらっていない!とルルーシュの顔を見れば、恋人はくすりと笑っている。
「ルルーシュ?」
「スザク、オレとしてはもう7年も前にプロポーズはされている、と思っていたんだが」
「へ? あれ? 7年、前って……」
2人が出会った時。運命の人を見つけて、手に入れて、いつまでも一緒にいるとそう誓った。
「オレはお前の隣以外、誰の横にも立つ気はないからとそう言っただろう? お前は覚えていないのか?」
「覚えてるよ! 僕もルルーシュ以外を選ぶ気はないって言ったよ! でも、今度はもっと……ずっと一緒がいいんだ……仕事とか、付き合いとか……僕の知らないルルーシュが増えるのが嫌、なんだ」
「それで結婚」
「…………はい、そーです……」
あーあ、とスザクは頭を抱える。言っちゃった。どうしてルルーシュに対しては、こんなにも独占欲丸だしになってしまうのか。勿論愛しているから、というのはあるけれど、それ以上に「誰にも渡したくない」ということが根底にある。本当に欲しい人を今度こそ間違えてはいけない。取る手を間違えてはいけない。もう2度と手放さない。
「スザク」
「はいっ!」
ルルーシュはくすくすと笑いながらスザクを見ている。
「お前聞いていたか? 7年前にプロポーズされている。そしてお前以外を選ばないとオレは言っているんだぞ?」
「え、あ……」
「それに嫉妬しているのはお前だけじゃないんだ」
あんなに女の子引き連れて、と不機嫌な表情のルルーシュに今度はスザクの方が笑みを浮かべる。ルルーシュ、とスザクが何よりも美しい言葉を口にしようとした瞬間、空に大きく花が開いた。
「花火だわ!」
「ねえねえ、雪も降ってきてるよ。すっごく綺麗!」
シャーリーとカレンが声をあげて、窓に近づく。ミレイとリヴァル、アーニャもジノも空を見上げる。美しい花火が夜空に大きく花を咲かせる。
「……花火?」
「そういえば、どこかのイベントに予定が書いてあったな」
花火の光に照らされているルルーシュの横顔が綺麗で───綺麗すぎて、わずかに滲む。思わず、腕が伸びて抱きしめた。
「お、おい、スザク」
「ルルーシュ、愛してる。ずっと君だけを愛してるから」
「ん……オレもだ」
その瞬間、一際大きな花が咲く。そして後ろではニマニマとしている元生徒会メンバー、およびその他。
「はいっ! ここからは婚約祝賀パーティーね! 大丈夫よ、三次会まで予約済みだから!」
まっかせなさい、とミレイが胸を張り、シャーリーとカレンは手を取り合ってきゃあきゃあ騒いでいる。
「カレンせんぱーい。どうでしょう、このまま俺達も婚約するとか」
「うっさい。まともに口説けもしないくせに、偉そうなことを言わない」
「ジノ、なんだよ、お前まだ駄目なのか?」
「失恋記録絶賛更新中だから」
賑やかな皆に取り囲まれて、スザクとルルーシュは顔を見合わせて笑う。
───こんなに綺麗で明るい未来を、君が僕にくれたんだルルーシュ。


後日、指輪をはめたスザクは女性社員たちににっこり笑う。
「あれが僕の最愛の恋人にして、人生のパートナー。僕は、ルルーシュの為だったら世界をも壊せるからね」
さて、誰が何を言えるというのか。








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