レギュレータ regulator 85.

合流









アヴァロンから飛んできたグロースターがイカルガに着艦すると、コクピットからコーネリアが飛び降りる。
「ルルーシュ、ユフィは!?」
「こっちです!」

航空浮遊艦アヴァロンは、もともとはシュナイゼルが所有していた艦だ。ダモクレスが完成した現在、シュナイゼルには不要なのだろう。悪くいえば放ってあったものを「あれ、使えないかしら?」とセシルが言い出し、ロイドもその話に乗って、ちゃっかり追加武装を施してしまったのだ。そういうのってどうなんだろうとゲンブとスザクは思うのだが───一応、敵側が使用していた艦な訳でもある───セシルは「だって勿体ないじゃない」と答えるし、ロイドは「これ前から興味あったんだよね~」なんてノリだ。先だっての紅蓮の改造もこの調子であったので、ラクシャータからは相当文句が出ていた。
『あんたたちねえ……』
『だってラクシャータくんが触っていいって言ったからさあ』
『そうです。それに最新フロートシステムの追加で、動きもかなり良くなってますから』
設備も広さも申し分ないし、ラウンズからコーネリア親衛隊のKMFまで一気にしょいこんだ特別派遣嚮導技術部としてはこれぐらい必要だと言い切り、すっかり専用艦にしてしまったのだ。


「ユーフェミア殿下、回復して良かった」
「うん」
アヴァロンのブリッジではゲンブとスザクと共に、ジノとアーニャも揃っていた。イカルガを眺めながらゲンブが笑顔でそう言えば、アーニャが隣でこくんと頷く。そんな2人の横では、こちらは半分イライラした様子のスザクとジノ。うろうろと落ち着きなく歩く2人に、ゲンブは半分呆れた顔を見せた。
「……行ってきたらいいだろ?」
すぐ目の前にイカルガがあり、その中には恋人が───ジノはまだ違うとは思うが、好きな人がそこにいるという状況で、それを見ているだけというのはちょっとどころか、もう我慢は限界に達している。
「やっぱり僕行ってくる」
「あっ、ちょっと待てスザク、私も行くから!」
ダッシュで走り去る2人にアーニャも「だったら、さっきコーネリア殿下と一緒に行けばいいのに」と呟き、その通りとゲンブも笑う。
「カッコつけてユーフェミア殿下のお見舞いだからとか言ってるから、ああなるんだ」
「ゲンブは?」
「何が?」
「ゼロ殿下」
「……ああ……まず助け出さなきゃな」
どこまで行っても触れることが出来ない場所にばかりいる。絶対に助けるとそう伝えた言葉や気持ちは、あの殿下に伝わっているのだろうか。今度は声に出して好きだと言おう。
黙ったゲンブをアーニャも黙ったまま見ている。そのまま外を見ていたゲンブが「あっ!!」と叫んだ。
「何?」
ゲンブの視線の方向に視線を向ければ、アーニャには全く見覚えない小型機が、イカルガの甲板へと向かっている。ゲンブもスザク達と同じようにブリッジを走り出ていく。その後ろをアーニャも追いかける。
「ゲンブ」
「あれ、日本のだ。もしかしたらヴァルトシュタイン卿かもしれない」
ところが、ヴァルトシュタインどころではなかった。
車椅子ではあったが、現れたのはシャルル皇帝であったのだ。

イカルガの貴賓室。ぴたりとドアが閉められている為、内部の様子は伺うことは出来ない。中にいるのはシャルル皇帝とルルーシュ、コーネリアだ。
そして、部屋の外の通路ではヴァルトシュタイン卿の前に並ぶラウンズメンバー。とはいっても、いるのはノネット、ジノ、アーニャ。そしてゲンブとスザク。ドロテアとモニカ、ルキアーノはシュナイゼル側についている。簡単ではあったが、互いの情報を交換しあい、ようやくほっと息をはく。やはりナイトオブワンがいるだけで場が違う。
「大変なところで突き放してしまって悪かったな、ジノ」
「いえ、今思えばあれで良かったと思っています」
全く情報がなかったからこそ、シュナイゼルはジノから何も得ることは出来なかったのだ。あれで多少知り得るものがあったら、とことん追求されていただろう。だから、あれで良かったのだ。
「……あいつがナイトオブスリーか」
廊下の角から覗いているのはナオトだ。その兄の後ろで、カレンが大きくため息をついていた。そして、さらにその後ろでは神楽耶と、今回付き添いしてきた枢木首相夫人がくすくすと笑って見ている。
「嫌だわ、ナオトくん。すっかり男親じゃないの」
「おばさま、何とかしてください。ずーーーっと、コレなんです。別にジノと付き合っている訳でもないし……」
「ジノ!? 名前呼びなのか、カレン!」
「……お兄ちゃん、うっさい」


貴賓室では、コーネリアに背を押されたルルーシュが父の手に触れていた。そのままずるずると座り込んで、膝へと頭を乗せる。
アリエスの広いリビングで、こうして父の傍に座っていたことすらも───すっかり忘れていた日々。
「……ちち、ちちうえ……」
ようやく声が出たルルーシュの頭に父の手が乗せられる。
「済まなかったとお前達に詫びねばならぬ」
「父上が詫びるなど……っ!」
ルルーシュの隣で、コーネリアが首を横に振る。どうしてこの人が謝らねばならないのか。
「皇帝の椅子だけは死守せねばならなかったのだ。明け渡してしまえば全部あやつの思い通りの世界になる」
シュナイゼルの世界にだけはさせぬよう、これが一番最後の砦だったと言ってもいい。
「儂は自分のことだけで精一杯であった。もう少しお前達にも力を回せれば、ゼロもユーフェミアも」
ルルーシュは父の膝から顔を上げる。
「ユフィは気がつきました、父上。ゼロも……ゼロもきっと大丈夫です」
そうか、とゆっくり息を吐き、体を沈める。まだ体は本調子ではない。無理を言ってここまで出てきたのだ。
「不甲斐ないこの父親に手を貸してくれぬか」
ルルーシュが立ち上がりコーネリアを振り返ると、姉は頷く。
「父上、そんなこと当たり前じゃないですか」
コーネリアの静かな声。父の目が少し光ったように見えたのは、決して気のせいではないだろう。



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