印象操作 2.

その2です


 空気が乾燥している。風も冷たい。

 ルルーシュがリップクリームをポケットから取り出し、唇に塗る。
「……どうした?」
 スザクの視線を感じたのかルルーシュがこちらを向いた。
「リップ、頻繁に使ってるなと思って」
「ああ、油断しているとすぐに荒れるんだ。唇が薄いのか、リップクリームもなかなか合うものがなくて色々試したり大変でさ、今のところこれが合うようで助かってる」
 ルルーシュは手のひらに乗せたリップクリームをスザクに見せた。オーガニックのリップでほのかにオレンジの香りだと説明してくれるのだが、スザクにはその情報は半分ほどしか頭に入ってこない。

 動くルルーシュの唇しかみえていない。

 という自分に気付いてスザクは真っ赤になる。

 スザクはルルーシュとお付き合いを始めたところだ。
(いきおいでプロポーズから入っちゃったけど)
 優しいなと気になって目で追うようになっていたのが実はルルーシュの仕掛けた計画であると知った時は驚いたものの、スザクに対しての行動だったことが嬉しかった。ということから、スザクも自分の気持ちに気付くことになった。
(僕もルルーシュが好きだったんだ)
 どこにいてもついつい姿を追いかけていたのだからそれはそういう事だったのだ。とはいえ、段階を色々すっ飛ばしたことが今になって弊害としてスザクに現れるようになっていた。
 気がつけばルルーシュばかり見ている。
 行動も、段階を踏まずして一足飛びに押し倒したい気分になるからこれはもうダメなやつだろう。ルルーシュに触れるすべてのものがスザクを苛つかせる。
(……リップクリームにまで嫉妬してるようじゃ最悪だな)
 はあ、と大きなため息を吐き出したスザクに不意にルルーシュの顔が近づいて、そっと唇が重なった。
「えっ、うわあっ」
 ガタン!と大きな音を立てて思わずよろめいたスザクにルルーシュがくすりと笑う。
「なんだ、酷い顔でオレを見ていたから動いてみたのだが気に入らなかったか?」
 ぶんぶんとスザクは頭を横に振った。気に入らない訳がない。
「そ、そんなに酷い顔だった!?」
「物欲しそうな顔だった」
「っ!!!」
 それはそうだろう。だってずっとキスしたいと眺めていたんだから。
「まあ、でも……」
 ルルーシュは俯き加減からの上目遣いでスザクをちらりと見る。
 その顔は駄目だ、ルルーシュっ!
「どちらかと言えば物欲しそうな顔はオレの方だ」
「もしかして……リップわざと?」
「ああ、そうだ。早く気付け馬鹿」
 今回も君にやられてる。
「……ルルーシュ、君が好きだよ」
「知ってる」
 もう勝てそうにないとスザクは笑い、念願の唇に自分の唇を重ね合わせた。



 前ほどではなくとも、ルルーシュがリップクリームを塗るのは変わりない。
「……結構頻繁だよね」
「冬はこれくらい塗るぞ。お前、まだ嫉妬してるのか?」
「……してます」
 あれからほぼ毎日ルルーシュとキスをしている。
 ルルーシュは笑い、たった今自分が使ったリップクリームをスザクの唇に押しつけた。
「ほら、とりあえず今はこれで我慢しておけ」
「う……はい……」
 何といっても、ここは教室なのだから。
 もう勘弁してくれといった空気はあえて読まない。




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